キーワード:モードロックレーザ,微小光共振器,マイクロコム ■3.光周波数コム光源としての微小光共振器 図2■(左)MgF2微小光共振器.(右)SiO2微小光共振器. この微小光共振器は以下の三つの特徴を有する. 1.Q値が高いので非線形光学効果が効率的に得られる 2.小型なので集積化ができる 3.共振器長が短いので縦モード周波数間隔が広い これらの性質がマイクロコムを他の光周波数コム光源と ■■ 1.研究の目的と背景 2.微小光共振器による光周波数コム光源 近年,GHzオーダの高繰り返しフェムト秒レーザ開発の機運の高まりと相まって,フェムト秒レーザパルスによる加工に新たな進展がみられている.高繰り返しフェムト秒レーザ光源を開発することで,学術的にも工業的にも大きな進展が期待できる. 学術的な議論の例として,Ildayらによって提唱されているアブレーション冷却過程による熱損傷フリー加工1)の研究が挙げられる.アブレーション冷却を活用するためには,物理現象の解明は不可欠であるが,フェムト秒レーザによって生じるとされているアブレーション冷却過程は,完全に解明されコンセンサスが取れているとは言えないのが現状である.この物理現象を解明するためには高度な観測技術に加え,高度に制御された高繰り返し光源の開発が必要となる. 工業的には,MHz~GHz超の繰り返しレートの光パルスレーザを加工に用いることで,加工のスループットの劇的な向上が期待できる.レーザ加工は,従来はフォトマスク修復など比較的加工面積の少ないマイクロエレクトロニクス分野で活用されてきたが,金属加工や炭素繊維複合材料加工などの大面積加工が必要となる分野での活用も急速に広がっている.スループットの向上はレーザ加工の喫緊の課題である.ワークを高速に移動させる必要がある場合に,高繰り返しレーザ光源を用いることは,スループット向上のために有効である.将来的なワークの移動速度のさらなる向上を加味すれば,GHzの繰り返し周波数を超えるパルス光源の開発が必要である. 以上いずれにおいても,高繰り返しで,高精度な光源の開発が求められており,その開発を進めることで,レーザ加工分野の発展に大きく貢献できる.そこで,本研究では,微小光共振器を用いた光周波数コム技術を用いた,超高繰り返しで安定したレーザ光源を開発することを目的とする. 微小光共振器を用いると,光を小さな空間に強く閉じ込めることができる.共振器内部では四光波混合(FWM)が連続的に生成し,様々な波長にわたって波長変換が生じる.つまり,微小光共振器に連続光を入射するだけで,広帯域な光周波数コム光を生成できる(図1).光周波数コムと慶應義塾大学■理工学部電気情報工学科■( ■■■年度■重点研究開発助成■課題研究■■■■ ■■■ ■■■■■) 教授■田邉■孝純■は,スペクトル上でクシ状のスペクトルを有する光である.さらに,各スペクトル線(縦モード)間の位相がロックしていれば,繰り返し光パルスとなる.微小光共振器はサイズが小さいため,縦モード間隔が従来の光周波数コムとは比較にならないくらい広い.これは時間領域で説明すると,繰り返し周波数が極めて高い光パルス列が得られることを意味する. 図1■微小光共振器による光周波数コム発生■微小光共振器を用いると,光を小さな空間に強く閉じ込めることができる.本研究で開発した二つの微小光共振器を図2に示す. は異なるものとしている.しかし,この微小光共振器を用いてモードロックした光周波数コムを発生させる(すなわち,超高繰り返し光パルスを生成させる)ためには,共振器の分散を適切に設計しなくてはならないことが知られ− 104 −非熱的加工用超高速繰り返し フェムト秒パルスレーザシードの開発
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