図11にフレネルレンズホログラム作成時の上側焦点距離fupperと下側焦点距離flowerを変化させたときのビットマップ(BMP)像とCGH像を,そしてそれを用いて形成された溶融領域の断面写真示す.レーザ光波長1064nmのピコ秒パルスレーザをパルスエネルギー4.5µJ,パルス繰り返し数1.0MHz,走査速度60mm/sでホウ珪酸ガラスD263の内部へ集光し,フレネルレンズホログラムの焦点距離のみを変化させた.レーザ光は図上部から照射されており,紙面に垂直方向へ走査している.溶融痕は1度のレーザ光走査で光軸方向に2つ形成され,光軸方向に多点集光できることが確認できた.フレネルレンズホログラムの図11光軸方向2点集光によるガラスの溶融領域形成1)3)4)5)6.結言謝辞参考文献各焦点距離における溶融痕間距離は,レンズの公式を用いて推定した集光点とフレネルレンズホログラムの焦点距離の関係と一致しており,ガラス内部であってもしっかりと集光性特性を維持できるものと考えられる.一方,形成される2つの溶融領域は,フレネルレンズホログラムの焦点距離が大きくなるにつれて接近,結合した.1つの溶融領域では縦に長く,溶融領域の上下に大きな応力集中が懸念させるが,2つの溶融領域が結合すると丸みのある溶融領域が形成されており,局所的な応力集中低下が期待できるものであった.以上のように,空間光位相変調器を用いてガラス内部における溶融領域形成制御の可能性を明らかにすることができた.今後は本手法をさらに発展させ,半導体材料とガラスの溶融溶接法の高度化を目指していきたいと考えている.本研究では単結晶シリコンとガラス基板の直接接合法の開発を目指して,レーザ光源として,波長532nmおよび波長1064nmのナノ秒パルスレーザとピコ秒パルスレーザの合計4種類を用い,レーザ光波長とパルス幅の影響を議論するとともに,溶接継手の機械強度を評価した.さらに,空間位相変調器を用いた次世代の接合手法に必要な基礎要素に関しても検討を行った.本研究で得られた主な結言は以下のとおりである.(1)近赤外波長のナノ秒パルスレーザよりもピコ秒パルスレーザを用いた方が溶融物の飛散を抑制できる.(2)波長532nmよりも波長1064nmの方が,ナノ秒パルスレーザよりもピコ秒パルスレーザの方がせん断強(3)近赤外ピコ秒パルスレーザを用いたとき,大きなせん断強度を得るためには適切なレーザパルス照射数があり,本実験条件ではレーザパルス照射数20程度で最大のせん断強度を示す.(4)近赤外ピコ秒パルスレーザを用いたとき,パルス繰り返し数が0.25MHzと小さいと周囲への溶融物飛散が多くなるとともに,ガラスと単結晶シリコンの界(5)複数のフレネルレンズホログラムを複素振幅合成したCGHを空間光位相変調器に用いることでレーザ光の集光点を光軸方向に分割することができる.そG. Wallis, D. I. Pomerantz: Field Assisted Glass-Metal Sealing, J.of Applied Physics, 40, 10, (1969) pp.3946 -3949.2)M. Esashi: Encapsulated Micro Mechanical Sensors, Microsystem Technologies, 1, (1994) pp. 2-9.B. Ziaie, et al.: A hermetic Glass-Silicon Micropackage with High-density on-chip Feedthroughs for Sensors and Actuators, J.of Microelectromechanical Systems, 5, (1996) pp.166-179.Y. Okamoto, et al.: Evaluation of Molten Zone in Micro-welding of Glass by Picosecond Pulsed Laser, J.of Laser Micro/Nanoengineering, 8, 1, (2013) pp.65-69.I. H. W. Nordin,et al.: Effect of Focusing Condition on Molten Area Characteristics in Micro-welding of Borosilicate Glass by Picosecond Pulsed Laser, Applied Physics A, Materials Science & Processing, Vol.122, No.5, (2016) pp.492:1-11.度は大きくなることから,近赤外ピコ秒パルスレーザが本手法に有用である.面での破断となり,せん断強度が小さい.一方,パルス繰り返し数2.0MHzと大きな方ではアンカー効果が期待できるような接合部が形成されることで,単結晶シリコンの母材側で破断して高いせん断強度が得られる.して,フレネルレンズホログラムの焦点距離を変化させることで集光点位置を光軸方向に制御し,ピコ秒パルスレーザ照射時にガラス内部における溶融領域形状を変化させることができる.本研究は,公益財団法人天田財団の重点研究開発助成課題研究(■■■ ■■■ ■■■■■)を受けて行われたものであり,深く感謝の意を表します.− 103 −
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