λ=1064nm, E=11μJ, Overlap rate=90%3.レーザ光波長とパルス幅が溶融痕形成と接合強度に及ぼす影響4.近赤外ピコ秒パルスレーザによる溶接特性脆性材料の微細接合部の機械強度を議論する場合,一般的な評価手法ではねじり等が作用して測定値にバラツキが多くなることから適切に評価することは容易でない.そこで溶接ビード形成後の試料は,図2に示すように,試験中のねじれを抑制するためリニアガイドを利用したクランプジグを用いてせん断試験を行った.なお,リニアガイドの摩擦力は最大破断荷重と比較して十分に小さいことを確認している.また,せん断試験前に溶接ビードの面積を測定し,破断荷重を溶接ビードの面積で除すことでせん断強度を求めた.せん断試験用の試料には1mm×20mmのオプティカルコンタクト領域に5本の溶接ビードを形成し,同一条件で5回測定を行ってその平均値をせん断強度して評価した.図2せん断試験方法模式図レーザ光波長として,532nmと1064nmの2種類,各々の波長に対してナノ秒パルスとピコ秒パルスの2種類,計4種類のパルスレーザを用い,単結晶シリコンとガラスの組み合わせに対して適切なレーザ光波長とパルス幅を検討した.図1で示したガラスと単結晶シリコンの組み合わせ試料に対して,レーザ光パルスが重ならないようにガラス基板からレーザ光を照射し,破断強度を測定した結果を図3に示す.波長532nmよりも1064nm,ナノ秒よりも図3 レーザ光波長とパルス幅がGlass/Si接合の破断強度に及ぼす影響ピコ秒パルスレーザの方が溶融物の飛散が少なく,穏やかな溶融痕形成が可能であった.そして,接合部の破断強度は,波長532nmよりも1064nmの方が,パルス幅はナノ秒よりもピコ秒の方が大きな値となっている.一般に,シリコンは可視域である波長532nmよりも近赤外に属する波長1064nmの方が吸光度は低く,シリコン表面におけるエネルギー吸収が穏やかになる.また,レーザ光の重なり量を示すオーバラップ率が90%と非常に大きな条件であっても,図4に示すようにピコ秒パルスの方がレーザ光走査線周囲への溶融物の飛散が少なく,非常に穏やかな溶接ビードが形成できている.溶融物の飛散はガラスと単結晶シリコンの界面へ生ずることから,両試料を離す方向へ作用するので良好な接合を考えると避けるべきである.したがって,ガラスと単結晶シリコンで大きな接合強度を得るためには,近赤外線とピコ秒パルスレーザの組合せが有効であることがわかる.図4高パルス繰り返し数におけるパルス幅の効果波長1064nm,パルスエネルギー3µJ,パルス幅20psのピコ秒パルスレーザを用いてガラスと単結晶シリコンの接合を行った.このとき,レーザ光走査速度2m/s一定でパルス繰り返し数が接合部に及ぼす影響をガラス基板上部側から観察した結果を図5に示す.ここでは図上部から下部へレーザ光が走査している.低いパルス繰り返し数である0.25MHzでは,溶融材料が周囲へ飛散していることが確認されるが,パルス繰り返し数が1.0MHz以上と大きくなると溶融飛散物はほとんど確認できなくなる.また,パルス繰り返し数が1.0MHzから大きくなるにつれて入熱量が増えて熱蓄積量が増大することから溶接ビードの幅も広くなっている.このように,ガラスや単結晶シリコンの溶融領域へレーザ光が繰り返し照射されることで大きな割れを生じることなくプロセスが進行していると考えられる.しかし,図4で示したパルス幅が短い12.5psでは0.1MHzで溶融物の飛散はほとんど確認できないが,それよりも長い20psでは大きなパルス繰り返し数0.25MHzにおいても溶融物の飛散が確認されたことから,適切なパルス幅とパルス繰り返し数の関係性は更なる議論が必要である.ところで,図中の写真右側に示す数値は− 100 −
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