助成研究成果報告書Vol.35
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1.研究の目的と背景キーワード:ピコ秒パルスレーザ,微細溶接,ガラス,半導体カーボンニュートラルを目指して様々な取り組みが進む今日,消費者の嗜好や活躍する産業も多様化し,多種多様なデバイスが求められる.また,情報化社会であらゆるものから様々な情報を得ることでより効率的な活動を目指した開発が求められていることから,今後も非常に多くのセンシングが必要になると考えられる.そのセンシングには半導体センサが必要不可欠であり,それらを安定的に使用するためにガラス等で封止する必要がある.したがって,空間自由度が高く,高信頼性が得られる単結晶シリコンとガラスの接合法が求められてくる.加えて,インターポーザ材料としてガラス基板が用いられることが期待されており,ガラスと各種半導体材料の接合技術が重要になると考えられる,一般に,シリコンとガラスの接合には陽極接合が多用されており,約■■■度に加熱してガラス側に■■■■程度の負電圧を印加することで一括接合できる1-3).しかし,高温下で高電圧を印加することから内部の電子回路へ悪影響を及ぼす危険性があり,接合に必要な時間も一般的に長い.一方,■■ピコ秒程度のレーザ光パルスを用いて微細スポットに集光すると,その瞬間的なパワー密度が大きくなることから,透明体材料であっても一部のレーザ光は非線形吸収現象によりガラスへ直接的にエネルギー吸収される4, 5).この吸収レーザ光エネルギーを熱源としてガラス材料を溶融させることで半導体材料とガラス基板を接合する.すなわち,■■ピコ秒程度のパルスレーザによる瞬間的な熱源を用いることで,ガラス同士の接合と同様に脆性材料である半導体材料とガラス基板を高品位に接合できる可能性がある.さらに,半導体基板での線形吸収とガラス内部での非線形吸収の混在する本手法は,作動距離の大きな集光レンズと高繰り返しレーザを用いることで高いプロセス速度と自由度が期待できる.これにより,陽極接合に劣らないプロセス速度を達成し,空間選択的な接合となることから電子回路に及ぼす影響も低減できる.そこで本研究では,従来の陽極接合に代わる新たな接合法としてピコ秒レーザを用いた半導体材料,主として単結晶シリコンとガラス基板の直接接合法の開発を行った.はじめに,レーザ光波長やパルス幅は材料内部への光の進入深さや溶融状態に大きく影響することから,その特性を議論した.そして本手法を適応するためには,接合部の機械岡山大学学術研究院自然科学学域( ■■■年度重点研究開発助成課題研究■■■ ■■■ ■■■■■)准教授岡本康寛2.実験方法強度を評価することも重要であることから,直接的な接合強度の評価を行い,レーザ光照射条件と機械強度の関係を明らかにし,ピコ秒レーザを用いた半導体材料とガラス基板の直接接合技術に必要な技術の確立を目指すとともに,空間位相変調器を用いた次世代の接合手法に必要な基礎要素に関しても検討を行った.レーザ光源として,波長532nmおよび波長1064nmのナノ秒パルスレーザとピコ秒パルスレーザの合計4種類を用いた.それらのレーザ光を図1に示すように,ガラスと単結晶シリコンの境界面へガラス基板側より照射した.いずれのレーザ光においても集光スポット直径は約20µmである.単結晶シリコンとガラスの境界面は,オプティカルコンタクトが得られるように重ね合わせた.しかし,その大きすぎるオプティカルコンタクト領域はせん断強度の評価に大きく影響を及ぼすことが明かとなっている4).そこで,接合領域を特定できるようにするためにシリコン製のマスクを作製した上より,未処理面へ汚染やダメージを及ぼさない反応性イオンエッチング(C2F6, 6.7Pa, 20sccm)により,幅1mm,長さ20mmのオプティカルコンタクト領域を作製した.この領域にレーザ光照射条件を変化させて溶接ビードを形成した.そして,Arイオンビームにより溶接ビード断面を研磨し,走査型電子顕微鏡により観察して溶接ビードの状態を評価した.試料には厚さ0.675mm,比抵抗10-2Ω・cm,(100)面のP型単結晶シリコン,厚さ1.0mmの陽極接合用ガラス(SW-Y, Asahi Glass Company),および厚さ1.1mmのホウ珪酸ガラス(D263, Schott)を用いた.せん断試験には単結晶シリコンの線膨張係数に合わせて調整された陽極接合用ガラスSW-Yを,溶接ビード断面の観察を行う場合は主にホウ珪酸ガラスD263を使用した.図1幅■■■の■■■■■■■■へのレーザ光照射の模式図− 99 −高繰り返しピコ秒パルスレーザによるガラスと半導体材料の溶融接合法

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