助成研究成果報告書Vol.34
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活性化することを示す結果と考えられた.こうして,Mg-Y-Zn系合金に対するLi添加の影響として,活性なすべり系の変化,つまり錘面すべりの活性化を促す可能性が示唆された.このことも延性の向上に有効に機能したと考えられた. 4.結 論 図7 Mg-Y-Zn系とMg-Li-Y-Zn系合⾦の300℃圧縮材に謝 辞 参考文献 本研究は公益財団法人天田財団2018年度一般研究開発助成の下で行われたものであり,ここに謝意を表す. 2. Mg87.9Li10Y1.4Zn0.7合金の過飽和固溶体相に対して,250℃~300℃の試験温度で,かつひずみ速度0.001 /sの条件下で高温変形を施すとSuzuki効果が活性化し,その結果生じた拡張転位の多くがYとZnによって固着され,これが高水準の変形応力の発現をもたらす. 3. Mg97.9Y1.4Zn0.7合金に対してLiを10 at.%程度固溶させると系全体の積層欠陥エネルギーが上昇する.このとき,高温(~300℃)で圧縮変形を行うと,数10 nmの拡張幅を有しYとZnの同時偏析を伴った拡張転位が多数発生し,さらにこれらが縦列配置する傾向が強まり,効果的なひずみ本研究では,Mg-Y-Zn系合金の変形特性に対するLi添加の影響を調査するため,Mg97.9Y1.4Zn0.7合金とMg87.9Li10Y1.4Zn0.7合金の2種類の過飽和固溶体合金に注目し,中高温域での圧縮変形挙動を評価した結果,以下の知見を得た. 1. 一般に,MgにLiを添加して固溶体化すると大きな強度低下が起こるが,さらにYとZnを適量複合添加すると強い固溶強化が発現し,強度と延性を同時に向上させるための組織制御が可能になる. エネルギーの開放と延性向上をもたらすよう,機能したとみられる. ⽣じた転位組織を捉えたSTEM像 図8 Mg-Y-Zn系合⾦の300℃圧縮材に⽣じた転位を捉えた⾼分解能TEM像 図9 Mg-Li-Y-Zn系合⾦の300℃圧縮材に⽣じた転位を捉えた⾼分解能TEM像 1) T. G. Byrer, E. L. White and P. D. Frost: The development of magnesium-lithium alloys for structural applications, NASA Contractor Report, (Battelle Memorial Institute, Columbus, OH, 1963). 2) R. A. Munroe, Metal Progress (1966) 89-92. 3) 三徳HP, https://www.santoku-corp.co.jp/company/license /magnesium.html 4) Y. Kawamura, K. Hayashi, A. Inoue and T. Matsumoto, Mater. Trans. 42 (2001) 1172-1176. 5) E. Abe, Y. Kawamura, K. Hayashi and A. Inoue, Acta Mater., 50 (2002) 3845-3857. 6) K. Saito, S. Kuzuya, M. Nishijima, K. Sato and K. Hiraga, Mater. Trans., 59, No.8 (2018) 1259-1266. 7) K. Saito, Y. Uchiyama, K. Sato, M. Kimura, H. Ishida and K. Hiraga, Mater. Trans. 61, No.4 (2020) 647-656. − 94 −

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