助成研究成果報告書Vol.34
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図5.TCPおよび焼鈍し後の方位マップ(左:409L,右:ニオブ)(a)As, (b)1, (c)2, (d)3パス 晶が促進され,<100>粒から<110>または<111>粒が再結晶 けではなく最も回折強度の高い<111>粒にもシアーバンドが導入され,前述したように集合組織がランダム化したことがわかる. 1~3パス材を焼鈍しした材料の方位マップを図図55に示す. AS材で多く存在していた成形性を低下させる<100>//ND粒がパス数の増加につれて減少していることが確認できる.一方で<110>//ND粒がAS材で全く見られないのに対してTCP加工を施すと<110>粒が増加していることが確認できる.また,3パス時には成形性を向上させる<111>//ND粒が減り,集合組織がランダム化していることがわかる.以上よりTCP加工を施すことにより<100>粒に集中的にシアーバンドが導入されることで再結 図4.TCP加工後の断面方位マップ (a)1パス,(b)2パス,(c)3パス後 過程で形成したと考えられる. 3.2 TCP加工による再結晶挙動の変化 TCP加工のパス数と再結晶挙動の関係を調べるために50 Kずつ温度を変えて熱処理を行った.熱処理温度と硬さの関係を図図66に示す.まず,ステンレス鋼では急激に軟化する軟化温度がパス数の増加により明らかに低下しているのに対して,ニオブではその差が小さい.一方,軟化後の硬さはパス数の増加により低下しているが,その差はニオブの方が大きい.これは3.1節で述べたように,1パス時のシアーバンドの導入数の差に起因していると考えられる. 図6.TCP加工後の焼鈍し温度と硬さの関係 3.3 成形性に及ぼす影響 TCP加工によって実際に成形性が向上するかどうかを調査するために管の軸方向および円周方向について引張試験を行った.ニオブ管から長手方向および円周方向についての公称応力―ひずみ線図を図図77に示す.伸びに及ぼすパス回数の効果は軸方向に比べて円周方向で顕著に高いことが明らかとなった.円周方向の引張試験後の試験片の外観図を図図88に示す.As材は溶接部で破断していたのに対して,TCP加工材は溶接部以外の箇所で破断していた.このことはTCPとその後の熱処理により溶接組織が消失したと考えられる.r値はステンレス鋼およびニオブ管ともにパス回数の増加により向上していた(図図99).その効果はニオブ管の円周方向で特に大きいことが明らかになった. ステンレス鋼について引張試験で伸びひずみを15%与えたときの引張試験片の外観写真を図図1100に示す.さらにその試料表面を共焦点顕微鏡を用いて表面粗さを測定した.測定方向は引張方向に対して垂直な方向で行った.その結果を図図1111に示す. AS材でははっきりと見えるリジングが1pass材では明らかに軽減されていることが確認できる.さらにパス数を増やすことでわずかではあるがリジングが軽減されていることがわかる.これは<100>//ND粒にシアーバンドを導入することでリジング− 77 −

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