図 5 交差負荷試験における応力-ひずみ曲線.実験結果とIso, Lat, LatBS モデルを用いた結晶塑性解析結果の比較. 4.4 二軸引張試験 図 4 反転せん断試験における応力-ひずみ曲線.実験結果とIso, Lat and LatBSモデルを用いた結晶塑性解析結果の比較. (2) 結晶塑性解析の結果 結晶塑性解析の結果を図4に示す.図示したIso,Latモデルによる解析結果はおおむね一致した.反転負荷直後の]aPM|[ ]aPM | [ 再降伏応力は低下するものの,その後,すぐに単調負荷の流動応力に到達した.LatBSモデルは,背応力に関する材料係数を同定するために,0.45で反転負荷した応力-ひずみ曲線を使用したため,当然ながら,0.45で反転した場合の予測が最も良好である.0.22で反転した場合,応力低下量は過小に予測された.一方,0.72で反転した場合は過大であった.なお,IsoBSモデルの結果はLatBSモデルの結果とほぼ同じであることを確認した. 以上の結果より,背応力の有無に関わらず,潜在硬化がバウシンガ効果の予測に与える影響はほぼないことが分かった. 4.3 交差負荷試験 単軸引張を負荷した後に単純せん断を負荷した交差負荷の結果を図5に示す.後続の単純せん断の応力-ひずみ曲線は,次の方法で求められるpreだけ横軸をオフセットした.まず,予負荷の単軸引張で消費した塑性仕事preWを求める.そして,(予負荷が無い)単調負荷の単純せん断においてpreWと等価な塑性仕事が消費される時のせん断ひずみを求める.このせん断ひずみをpreとして,後続の単純せん断の応力-ひずみ曲線をオフセットした.再降伏後の流動応力は単調負荷のそれより上昇している.一方,再降伏直後の加工硬化率は低下した.その後,塑性変形の進展に伴って,流動応力は単調負荷の結果に漸近した.このように本供試材は再降伏応力が上昇する形の交差効果を呈することを確認した. 結晶塑性解析による予測結果を図5に示す.Isoモデルでは,再降伏応力は単調負荷の流動応力と同程度であり,再降伏応力が上昇する交差効果挙動を予測できていない.一方,Latモデルではその挙動が再現できている.ただし,再降伏後の加工硬化率の低下は予測できておらず,流動応力が高いまま加工硬化した.その結果,流動応力の予測値は実験結果より高い値となった.LatBSモデルでは,Latモデルより再降伏応力が低下し,その後,緩やかに流動応力が上昇した.同様に,IsoBSモデルではIsoモデルよりも再降伏応力が低く,その後,徐々に流動応力が増加することを確認した. 以上の結果より,潜在硬化係数をq1.4し,潜在硬化を強めることで,交差負荷の流動応力が上昇することが分かった.ただし,実験で確認された再降伏後の加工硬化率の低下は予測できておらず,流動応力が高いまま塑性変形が進行した.また,背応力を考慮することで再降伏応力が低下し,実験結果を適切に予測できないことが分かった. 二軸引張試験を実施して,次の方法で実験結果を整理した.まず,0°(RD)の単軸引張の結果より,引張方向の塑性ひずみがp00.002, 0.01, 0.02, 0.03, 0.04, 0.05に達する時の塑性仕事を求めた.そして,二軸引張試験の結果に対しても塑性仕事を求め,単軸引張の塑性仕事と等価な塑性仕事を消費する瞬間の2軸引張の流動応力を同定した.このように同定した流動応力を図6に示す.図中にはIso,LatBSモデルによる結晶塑性解析の結果も示した.両モデルによる予測結果はほとんど同じである.p0 0.002の初期降伏直後では等二軸引張近傍の予測結果が実験値より低い.p00.01, 0.02, 0.03では,実験結果と結晶塑性解析の結果はおおむね一致している.p00.04, 0.05では,等二軸引張において結晶塑性解析は流動応力を過小に予測し,平面ひずみ引張近傍においては過大に予測している.なお,結晶塑性解析の結果において,二軸引張の流動応力をRD単軸引張の流動応力で除した正規化流動応力は同一点に一致していることを確認している.すなわち,結晶塑性解析では異方硬化挙動は予測されなかった.言い換えると,実験結果は平面ひずみ近傍の流動応力が塑性変形の進展に伴って相対的に低下する異方硬化挙動を呈したが,180160140120100800.00.2Experiment monotonic reverse0.40.60.8Simulation Iso Lat LatBS1.0180160140120100800.00.20.4Simple shear ( = 0°) 0.61.0Experiment monotonic crossSimulation Iso Lat LatBS0.8− 72 −
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