( ycneuqerf evitaeR8)%l64520 VVVVVVVX線回折測定、弾性率測定およびEffective-mean-field理論による解析により明らかとなった巨視的(平均的)な合金組成に起因したω変態温度を用いて説明が不可能なω図6にTi-21V合金単結晶における共振周波数Δfrと内部摩擦Q-1の室温以下での冷却および加熱過程での変化を示す。ここで、溶体化処理後(急冷後)の300 Kにおける共振周波数の値は513.592 kHzである。冷却および加熱過程の両方の場合において、100 K付近に内部摩擦ピークが観測されることが明らかとなった。この内部摩擦ピークをデバイ緩和モデルを用いて解析したところ、内部摩擦を生じさせる原子運動の活性化エネルギーは0.14 eV程度であることが明らかとなった。このような小さな活性化エネルギーを有する内部摩擦ピークは室温以下で非等温ω変態を起こさないTi-27V合金においても観測され、さらに室温時効に伴うω変態によって内部摩擦ピークの強度が減少することから、内部摩擦を生じさせる原子運動はω変態の素過程に対応した動的で可逆的な{111}原子面対のつぶれ(シャッフリング)に対応していることが明らかとなった。このような{111}原子面対のつぶれ(シャッフリング)は可逆的な集団的な原子運動であることから、このような原子運動のみでは、ω変態は生じない。そのため、ω変態の変態速度は相転移の素過程である動的な{111}原子面対のつぶれおよびω相の核生成という2種類の熱活性化過程に支配されていると考えられる。 図7 Ti-21Vにおける1273 Kでの1.5 × 1.5 × 1.5 nm3の立方体領域におけるV濃度のゆらぎ。cωは非等温ω変態温度が300 KとなるV濃度である。Reprinted with permission from Ref. 3. Copyright (2019) by the American Physical Society. 図8 Ti-V合金における巨視的 (平均的) な合金組成と局所的な合金組成の比較。 1010V concentration, cV (at.%) c(300 K)Ti-21V: L = 1.5 nm3525302015TiTiTiTiTiTiTiTiTiTiTiTiTiTiTiTiTiTiTiTiTiTiTi塑性変形によって生じる弾性率増加に着目すると、Effective-mean-field理論による解析の結果から、圧縮試験時の塑性変形によるTi-20V合金におけるせん断弾性率c’の増加は、塑性変形誘起ω変態によって生じていると考えられる。 変態挙動に対して、ゆらぎの熱力学理論3,7)を用いた解析を実施した。図7にゆらぎの熱力学理論を用いて計算した温度、圧力および化学ポテンシャル一定の環境下でのTi-21V合金の1273 Kでの1.5 × 1.5 × 1.5 nm3の立方体領域のV濃度ゆらぎを示す。ここで、cωは非等温ω変態温度が300 KとなるV濃度である。1辺が1.5 nmの立方体のナノスケール領域では、巨視的な平均組成がTi-21V合金の場合においても、そのV濃度は10~32 at.%程度の幅広い範囲で分布して(ゆらいで)いることがわかる。1273 Kでの溶体化処理後に急冷処理を行ったTi-21V合金には、図7の合金組成のゆらぎが室温で凍結された凍結組成ゆらぎが形成されていると考えられる。これは、図8に模式的に示すように、実線で囲まれた巨視的にはV濃度が19.4 at.%のTi-V合金においても、点線で囲まれた局所領域のV濃度は16.7 at.%であり、巨視的なV濃度よりも小さくなっていることに対応する。このような凍結された合金組成のゆらぎのために、図7に示すようにcω以下のV濃度の低い領域が高い頻度が存在するため、ナノスケールの領域においてω変態が生じる可能性があることがわかる。実際に323 Kで10日間の時効処理を施したTi-21V合金に対して、透過型電子顕微鏡観察を行った結果、10日間の時効後に数nmの微細なω相が高密度に形成されていることが明らかとなった。このようなω相は凍結された合金組成のゆらぎのために局所的にV濃度が低く、bcc構造が不安定な領域にてω変態が生じることによって形成されていると考えられる。これらの結果から、Ti-V合金において、凍結された合金組成のゆらぎに起因して室温近傍での時効下で無拡散で等温的に変態が生じる無拡散等温ω変態という従来の無拡散の非等温および拡散型の等温ω変態とは異なる新たな相転移が存在することが明らかとなった。このような室温時効に伴う無拡散等温ω変態によって室温時効下での弾性率増加が引き起こされていることがわかる。また、従来から知られているDiffuse ω構造は凍結された合金組成のゆらぎによって形成されるナノスケールのω相であることがわかった。 − 62 −
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