助成研究成果報告書Vol.34
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図11 π/4円盤を用いて3000rpm の条件で接合した継手謝 辞 図図11 にπ/4円盤を用いて3000rpm の条件で接合した継手の引張試験結果を示す。a) は試験に供した継手の外観である。b) は試験後の外観である。尚、a) b) 共にND方向から撮影している。また、写真上部がPETであり、下部がA1070となっており、接合方向は写真左から右の方向、引張方向は写真の上下方向である。c) は試験で得られた応力-ひずみ線図である。本グラフは縦軸に公称応力、横軸に公称ひずみをとっている。グラフは、応力とひずみが直線的な関係を保ったまま増加した後、35.6MPa を呈して破断したことを示している。この値は継手効率69.2% (PET 51.4MPaを基に算出)に相当する。 d) は破断後のA1070側の破面を傾斜させて撮影した写真である。A1070側にPETが付着した状態で破断が生じたことがわかる。e) は破断後の継手破面を真上方向(d)の写真でR.D.方向)から観察したものである。上の破面がPET側、下の破面がA1070側である。接合方向は左から右の方向である。 このほかに、#180のエメリー紙により表面粗さを増大させた場合、小孔設置位置を孔同士の間隔を中心角π/8とした場合、も接合実験に供したが、π/4円盤が最大値を与えた。 このように、円盤の表面性状を変化させることは継手強度改善に効果的であることを示唆するデータを得ることに成功した。 の引張試験結 状態にあり、そのことが熱エネルギーの創出をもたらし、接合界面の複雑形状付与機構を支配する。円盤との摩擦発熱の状態を経て、円盤が被接合材を抜け出るときに、本実験では0.5mmの円盤厚みのギャップを挟んで対峙する二つの表面が接して接合界面を形成することになるが、この円盤の端部において露出する表面が削り取られるように5.考察:円盤表面性状の設計指針 円盤摩擦接合は回転円盤が被接合材端部との間で摩擦して独特の突起部を形成すると考えている。あるいは、円盤の表面にできる構成刃先により接合材端部が独特の形状に削られていくとも考えられるが、先に示した周期的な凹凸を作り出すことに対して明確な説明がなされにくいことを考えると円盤端部においての凹凸形成が現時点では界面構造形成の場である可能性が高い。 このことを踏まえて円盤性状の最適化指針を考えると、円盤端部の微細加工が極めて重要な要素技術になる。この接合界面の形成機構は、円盤の外縁部の形状に最重要ポイントがある。すなわち、ミクロンレベルで円盤形状に凹凸等の表面起伏を作りこむ技術が必要で、レーザ加工しかこれを達成できる手法はない。この研究期間では、レーザ表面調質の効果を実証できてはいないが、当該研究はこれからも継続されていき、円盤へのレーザ加工が新規研究課題になっており、加工メーカーもあり、試作品もある。今後は、本助成研究で明らかになった「接合原理と円盤が具備すべき機能」をもとに、DFJが社会実装されるべく徹底的な技術開発研究に邁進する。 6.結論 装置開発に紆余曲折があり、数々の失敗や不具合を解決しながら2年以上の時間を費やして信頼できる実験ができるようになった。その装置は世界でここだけの接合装置であり、アルミニウムと樹脂の突き合せ接合に成功し、DFJが新たな接合技術としての発展の端緒を開いたものと考えている。 この技術の一番大事なポイントは円盤にある。DFJ独特の界面凹凸の形成機構は今後のさらなる詳細な研究を必要とするが、本報告書内で示したように、円盤の端部に微小な孔を開けるだけの加工を施すだけで接合強度が向上したことが端的に示すように、こういった微細加工パターンの追求がDFJの先鋭化に不可欠であることは明白である。 これまでに、円盤の材質として、普通鋼や耐熱鋼などを試してきたが、将来においてDFJに最適化された材質(強度と剛性などを最適化する)を設計した後に、表面微細形状の付与が必要になり、その際にレーザ加工技術が成否を決する。DFJ技術の展開の鍵を握るのがレーザ加工であることは疑いようのないことである。 円盤摩擦接合装置の開発に対して研究費を与えたくださった天田財団には心から感謝を申し上げます。この研究費なくして装置開発は成しえなかったことに加えて、円盤表面性状の設計指針を見出しその有効性を検証することはできなかったことを強調し、今後の技術開発の進展とそれによる高信頼性継手の創出によりご支援いただいたことに対する謝意の具体化としてまいります。 また、本研究に共同してくれた石原 知氏、柴柳研究室の学生諸君(廣瀬周平、田尻典大、杉森康司郎、開道弘紀、− 53 −

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