図1 円盤摩擦接合プロセス キーワード:円盤摩擦接合,アルミニウム,PET樹脂,接合界面,アンカー効果 2.円盤摩擦接合の原理 円盤摩擦接合とは、回転する円盤の両側に2つの被接合1.研究の目的と背景 ものづくりにおいて溶接・接合の役割は極めて重要であり、新しい材料が生み出されるごとにその材料に適した溶接プロセスが開発されてきている。溶接に用いられる熱源には、アーク溶接1)に用いられる電気エネルギー、レーザ溶接2)では光エネルギー、拡散接合3)では熱エネルギー、摩擦接合4,5)では機械的エネルギーなどがあり、多様である。 溶接される部材については、同種材料と異種材料に大別され、材質に応じた最適溶接技術が適用される。近年、マルチマテリアル化6)への技術的要請が高まる中、異種材料の溶接は喫緊の課題となっている。最たるものが自動車であり、軽量化を進める強い必要性からアルミニウム合金やマグネシウム合金あるいは樹脂をこれまでの鉄鋼材料の代替材料として採用する動向にある。 アルミニウム合金の溶接は、その特異な物性(高い熱伝導率、熱膨張係数、など)がゆえに溶融溶接が容易ではなく、プロセスが限定的である。しかしながら、1991年英国TWIでの摩擦攪拌接合(Friction Stir Welding: FSW)技術7)の開発により、この固相接合技術のおかげで、今では新幹線車体製造に適用されるなど幅広く活用されるようになった。溶かさないでつなぐ方法がアルミニウムで実現されたことが、破壊的イノベーションとなり、アルミニウムの接合技術の展開を可能にして今日に至っている。 アルミニウムと他の材料(鉄、チタン、マグネシウム、樹脂など)との異種材料接合技術はマルチマテリアル技術の重要技術課題の一つであるが、溶融溶接法の適用を目指した技術開発と併行して固相接合技術の開拓への期待も極めて大きい。ここで候補となるのが、摩擦圧接ならびに前出のFSWである。前者は丸棒などの形状に対して有効であり、後者は板に対しての接合に向いている。それぞれ、アルミを主体とした異材接合の切り札となる技術である。 これに加えて、我々は、新しい接合技術である円盤摩擦接合(Disc Friction Joining: DFJ)を先年世の中に提案し8, 9)、アルミニウム合金とPET樹脂の接合に成功するなど、本接合法の現実的な可能性を追求する研究活動を続けている。DFJは板の線接合(突き合せ接合)に効果的な接合法であり、摩擦圧接とFSWの特徴を含んだ接合法とも言える。現時点においても本接合装置を保有する研究室は世界で我々だけであり、日本初の溶接・接合技術として世界富山大学 学術研究部・都市デザイン学系 (平成29年度 一般研究開発助成 AF-2017022) 教授 柴柳 敏哉 に貢献すべく開発を続けている。要諦となるのは後述する円盤の表面性状にあり、この最適化指針を、レーザ表面加工技術を視野に入れて、実験データを積み上げながら策定することを本研究の目的とした。 本報告書は、天田財団の支援を得て遂行された研究活動を総括し、DFJの今後の展望を述べるものである。 部材をセットし、円盤面に対して垂直に荷重を負荷して押し付け、接触面で発生する摩擦熱を利用して部材の一部が軟化した状態にし、同時に接合面にあった酸化被膜や汚れを除去して、円盤が両材を引き抜かれていく瞬間に二つの部材が接触しさらに加圧されることで接合界面を得るという接合技術である。接合プロセスの図解を図図11に示した。 ここで用いる円盤は本技術の要になる技術要素である。円盤の役目は、被接合材との摩擦現象ならびに発熱過程の制御であるが、これに加えて後述する接合界面形状付与機能も有する。摩擦現象の制御については、表面粗度の調整により最適な動摩擦係数を実現しそれにより必要な発熱− 49 −― レーザ加工による円盤表面テクスチュアの創出 ― 円盤摩擦接合法による異種材料接合技術の開拓
元のページ ../index.html#51