キーワード:マグネシウム合金,引張変形,すべり変形 3.国際会議報告 3・1 会議の概要 2.開催場所 オンライン(Virtual Conference) 3・2 発表概要—マグネシウムの変形の結晶方位依存性- 筆者は,"Anomalous orientation dependence of non-basal slips in deformation of magnesium single crystals"という発表を行った.マグネシウム(Mg)合金は軽量であることから,近年,自動車や飛行機の材料として注目されている.しかしその変形挙動は,鉄やアルミなどとは大きく異なる点が多い.Mgの変形では主すべり系である底面すべりだけでなく,非底面すべりの運動が重要であることがわかってきた.そこでMg単結晶を異なる荷重軸で引張試験を行うと,非底面すべりによる応力-歪曲線は様々に変化し(図2),荷重軸方位によっては全く変形しないことがわかった.その原因を,透過型電子顕微鏡による転位観察により調査した結果,すべり面に作用する剪断応力の変化により,転位構造が変化することが原因であり,その転位機構を提案した. 図2 Mg単結晶の応力-歪曲線の方位依存性. 3・3 発表概要—マグネシウム合金圧延材の変形機構- 同行の大学院生は,"Activities of non-basal slips in rolled Mg-Li and Mg-Ce alloys sheets"という発表を行った.Mg合金圧延材の室温での延性改善を目指し,非底面すべりの活動性を上げる目的で,リチウム(Li)およびセリウム(Ce)を添加し,その引張変形挙動を調査した.その結果,Liでは延性は向上するが強度が減少し,Ceでは延性が改善できなかった.活動したすべり系を調査した結果,延性改善には1つのすべりだけでなく,複数の非底面すべり系の活動性向上が必要であることが分かった. 本国際会議等参加助成により国際会議において研究発表ができたことに対し深い感謝の意を表する. 謝 辞 この国際会議は,先端材料の開発,加工および製造プロセスに関する国際会議である.金属材料の塑性変形機構等の基礎的研究から合金開発といった金属に関するものが多いが,それ以外にセラミックスや高分子材料,バイオマテリアルなどの幅広い材料分野を含むものである.およそ3年ごとに世界各地で開催されており30年以上の歴史がある.毎回,世界中の研究者が数多く集まり,1000件以上の発表がある大きな国際会議である. 今回は,当初THERMEC'2020として2020年5月にウィーンで開催予定であったが,COVID19の世界的な蔓延により延期となり,最終的に2021年6月にVirtual Conferenceとしてオンラインでの開催となった.それでも今回は約1600件の口頭発表と約220件のポスター発表が登録されていた.図1にVirtual conferenceの画面を示す. Virtual Conferenceでは,発表者は研究発表スライドに音声を入れたビデオを作成し,事前に国際会議のサイトにアップロードしておくものである.参加者は随時そのビデオを閲覧し,質問があればチャット形式で書き込むことになっている.時間を気にせずに講演を繰り返し聞けるのは便利であるが,質問しても返事は後日となるので,各国の研究者と議論には不便であると感じた. 図1 THERMEC'2021 Virtual Conferenceのトップ画面 1.開催日時 2021年6月1日〜6月5日 熊本大学 先進マグネシウム国際研究センター (2019年度 国際会議等参加助成(後期) AF-2019068-X2) 教授 安藤 新二 − 315 −International Conference on Processing & Manufacturing of Advanced Materials (THERMEC'2021)
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