キーワード:摩擦攪拌接合,銅,アルミニウム 3.2 研究発表の概要 純アルミニウムと純銅の摩擦攪拌接合に関する発表を 本国際会議は,先端材料とプロセシングに関する国際会議で1988年に日本で開催されて以来,今回で11回目となる.当初は2020年5月末にウィーンで開催される予定であったが,新型コロナウィルスの影響で2021年の6月に延期され,Webでの開催となった(図1). 本国際会議では,34ヶ国の国と地域から材料分野をリードする研究者が最新の研究成果について発表を行い,討論がなされた.鉄鋼材料,軽金属材料,高温材料,プロセシング,シミュレーションなど材料とプロセスに関し,1500件以上の発表がなされた.発表はスライドに音声を録音した動画をアップロードすることで行われた. 摩擦攪拌接合に関しては,異種金属材料の接合に関する発表が多くなされた.特にアルミニウムとその他の金属材料との組み合わせが多かった.その他,摩擦攪拌接合中の材料流動に関するシミュレーションの発表もなされ,非常に有意義であった. 行った.異種金属の板材を突き合わせて接合する場合,従来は回転ツールを軟質材料側にオフセットし,硬質材料側にも0.1 mmから0.5 mm程度入り込む位置に圧入して接合が行われることが多い.アルミニウムと銅の接合の場合,回転ツールによって,主にアルミニウムが流動するとともに,銅もわずかに流動させることで両材料を混合しつつ接合が行われる.このような接合法で,引張試験の際にアルミニウム母材で破断する継手を得ることができる.しかしながら,アルミニウム中に分散した銅のサイズは一定ではなく,比較的大きい銅が分散した場合,銅の周囲に空隙が生じ易いという問題がある.また,接合後の非破壊検査ではアルミニウム中の銅が分散することで,空隙を発見することが困難となる.更に,接合工程中においては,回転ツ1) T. Nagaoka, T. Kyouda, S. Tongge, H. Zhang, ールが銅と接触すると,ツール表面に銅が付着し容易に離脱させることができないという問題がある. そこで本研究では,回転ツールを銅に接触させずに突合せ接合を行い,アルミニウムと銅の混合を抑制した接合部の形成を試みた.ツールが銅に接触しないようにアルミニウム側にオフセットすると,接合部下部(裏面側)に未接合部が生じ易くなる.そのため,回転ツールの前進角の影響について検討した. ツールをアルミニウム内に圧入することで,アルミニウムへの銅の分散を抑制することができた.しかし,従来の前進角3度の場合は接合部下部に未接合部が残存した.前進角により,回転ツールが接合部下部の接合界面に届かなくなるためと考えられた.それに対し,前進角を0度とすると回転ツールが接合部下部の接合界面近傍まで届き,未接合部は残存しなかった1).接合材の引張試験の結果,アルミニウム母材で破断した.また,結晶方位解析により,接合部下部においてもアルミニウムの材料流動が生じていることを明らかにした. ツール寿命に関する質問や攪拌による材料流動に関する質問,接合メカニズムに関する質問を受け,有意義な討論を行うことができた. 図1 国際会議が開催されたウェブサイト 本国際会議へ参加するに当たり,公益財団法人天田財団より助成を賜りました.このような貴重な機会を与えていただいたことに心より感謝申し上げます. Materials Science Forum, 1016 (2021) 1784-1789. 1.開催日時 2021年6月1日~2021年6月5日 2.開催場所 Web会議 3.国際会議報告 3.1 会議の概要 謝 辞 参考文献 大阪産業技術研究所 物質・材料研究部 (2019年度 国際会議等参加助成 AF-2019064-X2) 主任研究員 長岡 亨 − 313 −THERMEC’2021 International Conference on Processing & Manufacturing of Advanced Materials
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