キーワード:鍛造,ねじり,表面性状 1.開催日 2.開催場所 3.国際会議報告 謝 辞 参考文献 2021年7月26日(月)~30日(金) Web(アメリカ合衆国 オハイオ州コロンバス) 3.1 会議概要 本国際会議は1984年(東京,第1回)以来,3年毎に開催される塑性加工に関する最大の国際会議である.第13回となる今回はアメリカ合衆国・オハイオ州コロンバスにて,G. Daehn教授(オハイオ州立大学)を実行委員長としてWeb開催された.当初は2020年7月にオハイオ州立大学にて開催予定であったが,新型コロナウィルス感染症のパンデミックの影響により,1年延期され,さらにWeb開催へ変更された. 初めてのWeb開催のため,これまでの対面開催とは様式が大きく異なった.各国の時差を考慮して,日本時間で毎晩20:30~24:20(現地時間:7:30~11:20)の時間帯で開会式,閉会式等の式典,キーノート講演,一般口頭発表の質疑応答セッション等が5日間にわたり開催された.一般口頭発表は講演発表者が発表内容(20分以内)を事前に録画・アップロードして,聴講者は録画されたプレゼンテーションを事前に視聴した上で,上記の時間帯の質疑応答セッションに参加する様式であった.なお質疑応答セッション(各セッション:60分)では講演発表者に2分間の概要説明の機会が与えられた. 今回の参加登録者は約400名であり,参加国はドイツ(66名),中国(56名),アメリカ(54名),日本(51名)など25カ国,講演発表件数は約300件(50セッション)であった.直近数回のICTPと比較して,開催国のアメリカを除き,各国からの参加者数,参加国数,講演発表件数いずれも3~7割減であった.塑性加工のあらゆる分野の講演発表があり,今回は塑性接合や金属組織制御に関する講演発表が多く,形状から特性・機能への変化を感じた.約250件の講演論文が「Forming the Future」と題した会議論文集(冊子版および電子ファイル版)に掲載され,参加者には電子ファイル版が配付された. なお,次回(14th ICTP)は2023年9月,P.-O. Bouchard2) ねじり付加によるコンテナ-被加工材側壁部間の潤滑状態の不均一度の低減により,押出し先端部の1) R. Matsumoto, S. Takatsuka and H. Utsunomiya: Surface Quality of Extruded Sidewall in Cold Backward Cup Extrusion with Low-Frequency Torsional Oscillation, Forming the Future, (2021), pp. 217-225. 教授(パリ国立高等鉱業学校)を実行委員長としてフランス・マンドリュー・ラ・ナプールにて開催されることが開会式および閉会式にて発表された. 3.2 発表概要 筆者が本国際会議で口頭発表した論文は「低周波数ねじり振動を付加した冷間後方カップ押出し鍛造における押出された側壁部の表面性状」1)である. 筆者らは鍛造プロセスにおけるねじり振動付加の効果について調べており,これまでに軸方向荷重の低減について報告している.本鍛造プロセスでは鍛造後の被加工材の高品質化(表面性状,形状精度や材質)も目指している. 本発表ではA1070アルミニウムの冷間後方押出し鍛造を対象として,ねじり振動(最大速度:0.5rpm,振幅:5°,最大周波数:0.15Hz)の付加が鍛造後の被加工材の押出し部の表面性状および形状に及ぼす影響について報告した.以下に得られた結果をまとめる. 1) ねじり付加によりコンテナ-被加工材側壁部間に周方向すべりが生じ,接触圧力も約25%低下することにより,被加工材側壁部の凹凸は平滑化される.コンテナ-被加工材側壁部間の潤滑油が周方向にも引伸ばされ,被加工材側壁部の凹凸の不均一度も低減される.一方,過度のねじり付加(本鍛造条件では概ね360°以上)は試験片外周面の表面性状を悪化させるため,注意を要する. 高さ分布の不均一度は低減され,鍛造後の被加工材の形状精度を向上できる. 本国際会議への参加にあたり,(公財)天田財団より助成を受けた.ここに厚く御礼申し上げる. 大阪大学 大学院工学研究科 マテリアル生産科学専攻 (2019年度 国際会議参加助成 AF-2019059-X2) 准教授 松本 良 − 308 −13th International Conference on the Technology of Plasticity (ICTP 2021)
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