1. 開催日時 2. 開催場所 3. 国際会議報告 謝 辞 参考文献 キーワード:マグネシウム合金,室温加工,キンク変形 2021年6月1日~5日 Virtual Conference 本会議は、先端材料のプロセスと製造に関する会議として1988年に日本で始まった会議であり、現在まで3年ごとに開催されている。今回は第11回目であり、T. Chandraの主催によりオーストリアのウィーンで開催予定であったが、コロナ禍の状況を踏まえ、開催年を1年延期してVirtual Conferenceとして開催された。主な参加国は日本、アメリカ、中国、韓国、イギリス、ドイツ、フランス等であった。 会議の主な議題としてAdvanced Steels、High & Ultra-high Temperature Materials、Ultra-Fine Grained Materials、Metallic Glass & Amorphous Materials、Welding & Joining、Modelling & Simulation、Mg Alloys、Al Alloy、Ti Alloys、Materials Performance、Nanomaterials for Structural & Energy Applications 等、材料とプロセスに関する報告であったが、近年注目されている、Additive Manufacturing や High Entropy Alloys についても多数報告がなされていた。筆者はLPSO/MSF Material: Microstructure and Kink Strengthening 1 のセッションにおいて、6月3日に発表があり、「Deformation behavior and mechanical property of Mg-Ni-Y alloy with Long period stacking ordered phase」 というタイトルで発表を行った。 講演は27件行われ、熊本大学の河村先生のキーノート講義から始まり、筆者は13番目の発表であった。Mg合 (2019年度 国際会議等参加助成 AF-2019058-X2) 千葉大学 機械工学科 教授 糸井 貴臣 金に生成するLPSO相(長周期相)はMgに希土類元素と遷移金属元素を添加すると生成する安定相である。遷移金属元素と希土類元素がL12型の単位格子(クラスター)を組み、そのクラスター間にMg原子が層状に積層することでLPSO相は構成される。L12型のクラスターを硬質層、またMgを軟質層とすると、LPSO相は硬質層と軟質層の折り重なったミルフィーユ構造 (Mille-Feuille Structure: MSF)をしていると捉えることができる1,2) 。LPSO相はMSF物質のひとつであり、室温でのすべり系が底面のみであることから、変形におけるひずみの緩和機構としてキンク変形を生じる。現在、MSF物質のキンク変形による強化機構が国内外を問わず注目を浴びており、本会議では金属のみならず高分子材料のキンク強化現象についても様々な視点から論じられていた。筆者の発表は、LPSO相を室温で圧延を行い、キンク変形が圧延によるLPSO相の底面配向を抑制する役割を果たすことから、室温での加工性改善にも効果的があるとの考察を述べた。Virtual Conferenceは発表内容を繰り返し確認することで、しっかりと内容を把握できる事は良い点であるが、コロナ禍がひと段落して、同志の仲間と対面で議論できることを心から楽しみにしている。 国際会議THERMEC2021への参加にあたり、公益財団法人天田財団より国際交流助成を頂いたことに対して厚くお礼を申し上げます。 1) 例えば、萩原幸司 他、まてりあ、57(2018) 607. 2) 例えば、江草大佑 他、まてりあ、58(2019) 96. − 307 −International Conference on Processing & Manufacturing of Advanced Materials (THERMEC2021)
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