助成研究成果報告書Vol.34
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キーワード:強剪断変形,静的再結晶,純鉄,微細粒 2.開催場所 E-conference 3.国際会議概要 1.開催日 4.発表の概要 (2019年度 国際会議等参加助成 AF-2019053-X1) 謝 辞 2020年9月13日~9月16日 18th International Conference Metal Forming 2020はAGH University of Science and Technology, Krakow, Poland の主催により,2020年9月13日~16日の3日間開催された.従来の塑性加工技術に加え,3Dプリンティングなどの新しい加工技術や数値モデリングに関する研究も含まれていた.また加工熱処理による微細構造の変化と機械特性の予測に関する研究,さらにチタン合金,マグネシウム合金,高エントロピー材料などに関する研究も発表された.またコップ教授の業績を称えるミニシンポジウムがコップ教授の80歳の誕生日に開催された.会議論文集はProcedia Manufacturing にて出版された. 今回の会議は,当初はAGH University of Science and Technologyでの開催の予定であったが,新型肺炎の問題によりE-conferenceとしての開催に変更になった.発表者は事前に録音されたプレゼンテーションファイルをアップロードし,インターネットにより議論を行った.著者らの研究グループは「Study on effects of strong shear strain on recrystallized grain size of pure iron and microstructure control method」という題目の発表を行った.E-conferenceでは発表時間に左右されることなく,様々な発表を視聴し議論することができ,対面開催以上に有意義な時間となった. 微細結晶の金属材料は高い強度だけではなく,微細加工における変形の均一性や表面の特異な化学特性などが注目されている.微細結晶組織を生成するためには,材料に強い塑性ひずみを与え熱処理により再結晶させる方法が有効である.材料に強い塑性ひずみを与えるため圧延加工で大圧下を与える方法やECAPで繰返し剪断ひずみを与える方法が提案されている.しかしさらに簡便な方法を開発するため,本研究では切削加工を利用する方法を検討した.図1に示すように,旋盤を用い突っ切り加工により2次元切削を行い,幅10㎜のストリップ状切屑を作製する.その後,スキンパス圧延により切屑を平坦化し電気炉で熱処東京工業大学工学院 教授 吉野 雅彦 理する.切削された切屑には強い剪断ひずみが加わるため,切り屑を適切な条件で熱処理することにより,静的再結晶が生じ,微細な結晶組織が得られる.本実験ではすくい角10°の切削工具を用い,切り取り厚さ0.04mmで2次元切削を行った.切削速度は35 m/minおよび50 m/minとし,それぞれ厚さ0.26 mmと0.2 mmの切屑が得られた.それぞれの切屑には剪断ひずみ6.6および5.0の塑性変形が加わったことになる.図2に,その切屑をスキンパス圧延により平坦化した後に500℃で1分間焼鈍したときの結晶組織のIPFマップを示す.静的再結晶により変形組織が全て微細な再結晶粒に置き換わっている.切削条件により再結晶粒の大きさが異なっており,(a)では1.5μm, (b)では3.0μmであるが,(a)の試験片では部分的にサブμmサイズの結晶粒が生成している.さらにこのように作製した幅10mmの帯状試験片の引張試験を行い,結晶組織の微細化により降伏点の増大を確認した.以上より簡便な切削加工を利用し,微細結晶組織の帯状純鉄薄板を作製することが出来ることを示した. 図1 切削を利用した微細粒純鉄ストリップの製造法 図2 500℃で1分間焼鈍したときのIPFマップ.(a) 剪断ひずみ6.6,(b) 剪断ひずみ5.5 本国際会議の参加にあたり公益財団法人天田財団より国際会議等参加助成の支援をいただきました.ここに篤く御礼申し上げます. − 304 −18th International Conference Metal Forming 2020

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