図5(a)-(c)にPAr = 104 Pa基板上に得られた膜の表面SEM像を示す。PL= 0.8 kW/cm2で、50 nm程度のナノ粒子の後2600 ℃付近まで急激に温度上昇した。その後、試料表面温度は一定であった。1500 ℃近傍に見られる温度変化の小さい領域はSiの溶融によるものが考えられ、その後の急激な温度上昇は、レーザー加熱に加え、SiCの生成(Si+C → SiC, ΔH =‐65.3 KJ/mol)によるものと考えられる。 図3(a)-(e)にレーザー照射時間による、原料ペレット中心付近の微構造変化を示す。レーザー照射前の試料では、コントラストの違う2つの粒子が見られ、黒色の粒子がカーボンで被覆されたシリコン、灰色がシリコン粒子と考えられる(図3(a))。レーザー照射を開始して約2秒後(図3(b)には、3-10 m程度の溶融した凝集片が見られた。約4秒後(図3(d)には、0.5-3 m程度の多角形粒子からなる3-10 m程度の粒子が見られ、約8秒後(図3(d)においても3-10 m程度の粒子が見られ、表面には数10 nm程度の空隙が多数見られた。レーザー照射120秒後(図3(e))では、粗な微構造となった。 図3(a)-(e)* レーザー照射時間ごとのSEM像 図4にPL =1.2 kW/cm2における粉末成形体の重量減少の時間経過を示す。レーザー照射により粉末成形体の重量はレーザー照射時間とともに単調に減少していることが分かり、その重量減少割合は2×10-6 g/sであると見積もれる。これはSiCが昇華によるものと考えられる。 図4* 粉末成形体の重量減少の時間経過(PL = 1.2 kW/cm2) が堆積した状態が見られた。PL =1.0 kW/cm2では(図5(c))、長さ1m程度の針状粒子が基材表面に成長していた。そしてPL =1.2 kW/cm2では(図5(d))、1-5 m程度の板状結晶が見られた。EDXによる組成分析では、Si/C = 0.9~1.1とおおよそ化学量論比通りであった。このような微構造変化は、レーザー出力によるSiC蒸気の増大によるものと考えられる。 図5(a)-(c)* 膜の表面SEM像(a) PL= 0.8 kW/cm2, (b) PL= 1.0 kW/cm2, (c) PL= 1.2 kW/cm2 (PAr = 104 Pa) 次に図6(a) (b)にPAr= 10-1 Paで種々のレーザー出力で得られた膜の断面像を示す。PL =1.0 kW/cm2では柱状組織が見られ、PL = 1.2 kW/cm2ではさらに太く成長した柱状組織構造であった。しかし、どちらもEDXによる組成分析では、Si/C = 1.3~1.5と仕込み組成比に比べSi-richであった。参考文献に示されているように1×10-1 Paにおいて金属Siの蒸発温度は 1650 ℃であり10、原料に含まれるSiが一部蒸発したものと考えられる。 図6* SiCコーティング層の断面SEM像、(a)PL = 1.0 kW/cm2, (b) PL =1.2 kW/cm2 (PAr = 10-1 Pa) 図7 (a)-(d)にPAr= 104 Pa, PL =1.2 kW/cm2における成膜時間30sと120sの表面および断面SEM像を示す。各成膜時間における膜厚は10 mと50-60 m であり成膜速度は、30 m/min程度であった。 図7*における成膜時間30 s(a,b)と120 s(c,d)の表面および断面SEM像(PAr= 104 Pa, PL =1.2 kW/cm2) − 291 −
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