助成研究成果報告書Vol.34
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キーワード:レーザー,炭化ケイ素,コーティング 図1* SiCコーティング装置概略図 3.研究成果 1.研究の目的と背景 2.実験方法 炭化ケイ素 (SiC)は、高強度かつ耐熱性・耐酸化性に優れた構造セラミックスであり、航空機エンジンやガスタービンなどへの高温構造材料として用いられている1。また、摺動部材の耐摩耗コーティングや、原子力発電プラント用燃料被覆管用コーティングなど、SiCコーティングの利用も検討されている2。このようなSiCコーティングでは、未反応のCやSiを含まない高純度な緻密層を形成することが重要である。従来、SiCコーティングの作製には、CVDやPLDなどの気相プロセスが用いられてきた3,4。これらの手法では高品質なSiCを成膜することが可能であるが、成膜速度が遅いことが課題である。また、SiCは常圧で融点をもたず高温で昇華する材料であることから、SiCの昇華再結晶を利用して、気相から単結晶を作製する方法5があるが、昇華温度は2400 ℃以上であり、再結晶によるコーティングは困難である。 近年、高強度レーザー技術の発展により、レーザー照射によって高融点金属やセラミックスを直接加工する技術の開発が盛んに行われている。例えば、Maらは、Al2O3とY2O3の混合粉末にCO2レーザーを照射してAl2O3-Y3Al5O12共晶部材の作製に成功した6。Wangらは、3 kWのダイオードレーザーをもちいて、ニッケルクロム合金の積層造形に成功している7。Meyerらは100 Wのファイバーレーザーを用いてSiを溶融させてSiを結合相としたSi-SiCの複雑形状部材を付加製造により作製できることを報告した8。また我々は、SiとCの圧粉成形体にNd:YAGレーザーを照射することで、短時間で結晶性SiCが合成できることを明らかにした9。本研究では、SiとCの圧粉成型体にレーザーを照射してSiCを合成し、その後もレーザーを連続して照射することによりSiCを昇華させ、基材上にSiCを再結晶させるコーティングプロセスを検討した。 図1にSiCコーティング装置の実験概略図を示す。Si(99 %,平均粒子径5 m)とC粉末(粒径<100 nm)を原料とし、モル比1:1の割合で湿式ボールミルを用いて24時間混合し、その後、120 ℃で乾燥させて混合粉末を作製した。混合粉末は、10 MPaで1軸加圧成形し、連続波のファイバーレーザー(スポットサイズφ6㎜)を成形体の表面に照射し、昇華ガスを発生させ上方の4H-SiC基板にコ(一財)ファインセラミックスセンター 材料技術研究所 (2018年度 奨励研究助成(若手研究者) AF-2018241-C2) 上級研究員 末廣 智 ーティングした。この時チャンバー内の雰囲気はアルゴン流通下(1✕104 Paまたは1✕10-1 Pa)で行った。 レーザー照射下での原料ペレットの発熱挙動を調べるため、図2(a)にレーザー照射下(PL= 1.2 kW/cm2)での原料ペレットの写真とその温度分布を示す。レーザー照射開始直後において試料表面温度は中心位置がもっとも高かった。これはレーザー出力のガウス分布によるものである。図2(b)に各計測点における原料ペレットの温度の経時変化を示す。 図2* レーザー照射下(PL= 1.2 kW/cm2)での原料ペレットの写真(a)と温度分布(b) ペレット中心部(1)で、レーザー照射して約4秒後に1500 ℃に達し、約0.2秒間、温度が一定となり、その後2600 ℃付近まで急激な温度上昇が見られた。ペレットの端近傍 (2)でも同様な温度変化が見られ、約4.2秒後に1500 ℃に達した後に、約0.8秒間温度が一定となり、そ− 290 − レーザーを用いたSiC反応焼結機構の解明と 新規コーティング技術への応用

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