図6.(a) デュアルアクティベーションによるゾル化(b) デュアルアクティベーションによる材料微小形状のプロ図7. (a) デュアルアクティベーションによる発光性の光加工(左:UV照射下における発光右:使用したフォトマスクの形状)(b) 光重合によって得た材料に対する、デュアルアクティベーションによる光形状変化(a)(b)5mmUV+HCl(a)(b)5mm ・■デュアルアクティベーションによる材料形状加工上述した検討よりも長時間デュアルアクティベーション加工を行ったところ、膨潤度はさらに増加した。その一方で、一般的な光加工材料とは対照的に、光単独刺激に対しては高い安定性を持つことが明らかとなった。塩化水素存在下、平板ゲル材料の中央に対して局所的に光を照射し、デュアルアクティベーションを十分作用させたところ、架橋点の消失によるゾル化が観測された(図6a)。また、塩化水素存在下、円盤状のゲル材料の中央部に光を照射し、デュアルアクティベーションを行ったところ、中央部の局所的な膨潤によって円盤状材料はボウル状に変形するなど、材料形状のプログラム変化に成功した(図6b)。一方で、塩化水素非存在下では光照射下であっても変形が生じないことから、光環境下で利用可能な材料に対する高次かつ微細な形状制御手法であるといえる。グラム変形 ・■デュアルアクティベーションによる材料形状加工デュアルアクティベーションを用いた光加工は、従来トレードオフとされてきた光安定性だけでなく、光加工と同じ光吸収に基づく光機能についても、両立可能にする。例えば光機能の1つである発光性は、一般的な光加工材料では材料の破壊につながるため、機能として相反する関係にある。対して本材料は、光は酸存在下でのみ材料加工を引き起こすことから、加工後は安定な光機能材料として利用可能という、既存系の問題を打開する材料である。このことを実証するため、ゲル材料に対する発光性の直接的光加工を行った。白金アセチリド錯体から成るゲル材料は、紫外光照射下、黄色に燐光発光を示す。一方でデュアルアクティベーションによって白金架橋点を切断した場合、ユニットは青色の蛍光発光を示す。そこでT字型のフォトマスクを作成し、部分的に光を照射することでデュアルアクティベーションを行ったところ、マスクパターンが転写され、材料が持つ発光性を直接光加工することに成功した(図7a)。また、光加工材料が本来両立しえない性能として、光重合性があげられる。光重合によって成形可能な材料は、遠隔からの、微細で温和な成型が可能である一方で、成型後の材料を同一波長で光加工することは原理上困難である。一方で本材料のデュアルアクティベーションは、その相反性を打開することが可能である。高分子母材のモノマーとして、ヒドロキシエチルアクリルアミドを選択し、白金アセチリド錯体から成る架橋剤と、光重合開始剤HCPKを混合し、光照射下で重合反応を行うことで、ポリマーネットワークから成るゲル材料を得た。光重合によって合成した平板状の材料は、同一波長の光と酸のデュアルアクティベーションによって膨潤を伴う変形挙動を示した(図7b)。光重合によって調製・成形可能な材料に対しても、同一波長の光照射に基づく光加工・光機能発現に成功した。光重合は光機能とは両立できない相反機能であり、本材料によってもたらされる新しい概念である。形状図本研究は、公益財団法人天田財団の ■■■年度奨励研究助成(若手研究者)■■■ ■■■ ■■■■ の支援を受けたものである。ここに特記して謝意を記す。中央に光照射ゲル材料のゾル化■■のみ微細形状の自在変形5mm■字型マスクで発光色を光加工謝辞形状図5mm■■■■■■加工後■■■■■■加工後■■■■■■加工後■■のみ− 288 −
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