助成研究成果報告書Vol.34
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図2. デュアルアクティベーションシステムの概念図図1. 従来の光加工技術の問題点✓光加工性✓光安定性✓光機能性hnhnhnhnhn1.研究の目的と背景キーワード:光加工,フォトリソグラフィー光加工材料は材料をマイクロスケールで加工するための有用な技術であるものの、材料が光に不安定という本質的な問題点を抱えている。そのため紫外光によって材料が容易に変性するなど、材料を長期利用することが困難とされてきた1-3)。特に光機能材料群は微細加工によって高密度な機能化が期待されるものの、これらの光機能は光加工と同じ光吸収に基づくため、光学機能素材は光加工が不可能とされてきた(図1)。本研究ではこの本質的な問題を解決するために、光に加えて第二の刺激(X)を用いたデュアルアクティベーションに基づく光加工を行うことで、トレードオフとされてきた関係性を打開する(図2)。光に加わる第二の刺激としては、安価で温和かつ除去が容易な酸という刺激に着目した。光のみではなく、酸が共存する条件下でのみ反応が生じる特殊な分子群を高分子材料中に導入し、加工時には光ともう一つの刺激を用いたデュアルアクティベーションによって光加工を行う。一方で、加工後は片方の刺激を除去することによって、光に対する安定性を両立可能である。この手法によって形状・弾性・光物性のマイクロパターニング制御を実現する。1つの材料に複数の力学・光物性をパターニングしつつ、光安定な構造材料を構築する。これらは幾何的に複雑な延伸性や微細光特性を材料中に付与し、材料機能の高次元化を実現する。本研究では、デュアルアクティベーション可能なポリマーネットワーク材料の実証、ならびにデュアルアクティベーションによる材料マクロ物性の制御に成功した。本材料は光安定性を有しながらも、光を用いた加工性、光成形性、( ■■■年度奨励研究助成(若手研究者)■■■ ■■■ ■■■■ )東京大学総合文化研究科助教正井宏2.実験方法と結果光による形状プログラム変形能、そして光機能性を示すという、相反する機能を多数有することが明らかとなった。以下、その詳細について述べる。 ・■白金錯体におけるデュアルアクティベーション応答性共役分子と遷移金属錯体を用いた研究を行う中で、白金錯体を用いた発光型HClガスセンサ材料を開発した。このセンサはHClによって白金アセチリド錯体が分解することを鍵としている。その際偶然にも、この白金アセチリド錯体分解反応が共役部位励起の光照射によって加速することを見出した。その加速効果としては、光照射なしの対照実験に比べて2000分の1の低濃度HClに対しても、従来の50倍の応答速度で反応した。すなわち白金アセチリド錯体は、光とHClのデュアルアクティベーションで開裂する新規反応性が明らかとなった4)。その一方で、本ユニットをポリマーネットワーク材料の架橋点として高分子材料へと導入した際に、酸単独の刺激に対する安定性が不十分であることが問題点として顕在化した。デュアルアクティベーションによる光加工を実証する上では、より定量的な解析が求められることから、材料は酸単独刺激に対する高い頑強性が要求される。そこで、酸単独刺激に対する安定性向上のために、環状構造を有する分子による立体的な保護を行った。これは過去の知見によって、材料の発光性や靭性を向上することが明らかとなデュアルアクティベーションデュアルアクティベーションシステム光刺激刺激Xフォトリソグラフィー光加工性トレードオフ環境光によっても材料が変性(日常的な利用に制限)光安定性・光機能性(発光・偏光・屈折…)トレードオフの解消No effectEffective化学的な刺激化学刺激の除去− 285 −光安定性と光加工性を両立する新規プラスチック材料の微細加工技術

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