キーワード:レーザ加工, 接合加工,攪拌プロセス 2.実験方法 いられる.レーザを用いれば,局所的な急加熱ができるため,電子デバイスの微細配線の接合や,自動車部品の精密接合に用いられることが多い.また,近年では,摩擦攪拌接合(FSW)が,材料を溶融させずに接合可能な方法として実用されている.FSWは,航空機や鉄道車両に使用される高い信頼性が不可欠な部品や,熱影響を抑制しなければならない部品の接合でよく用いられる. レーザ溶接では,レンズで小さく絞った光を照射し,局所的な加熱・溶融・凝固過程を経て,加工が行われる.そのため,熱影響に伴う結晶組織の粗大化が生じ,接合部の機械的強度を低下させてしまう問題がある2).また,別の問題として,接合に伴う熱影響層で空隙やクラック,表面膨張などの発生が挙げられ,これらも接合部の機械的強度や信頼性を低下させる要因となっている3). 一方,摩擦攪拌接合は,材料を溶融させず,固相状態で接合するため,レーザ溶接と比べて熱影響が抑制できる.そのため,結晶粒の粗大化による機械的強度の低下も小さい4).回転させた工具を材料に押しつけ,そのときに生じる摩擦熱によって材料が軟化される.摩擦熱を利用しているため,高融点材料へそのまま摩擦攪拌接合を適用することは困難である.また,材料軟化に必要な摩擦熱を発生させるために,工具を高速回転させながら材料に強く押しつけなければならず,高剛性なFSW加工機が求められるほか,強固に材料を固定するための工夫が不可欠となる. 1.研究の目的と背景 微細接合技術は,センサやMEMSデバイス,電子機器を製造する上で不可欠な技術であり1),レーザ溶接が広く用図1 レーザ加熱攪拌プロセスの原理と試作した実験装置 芝浦工業大学 機械制御システム工学科 (2018年度 奨励研究助成(若手研究者) AF-2018239-C2) 助教 酒井 康徳 このように,既存の接合技術には,解決すべき課題が存在しており,高融点材料や熱伝導性が高い材料などの高品位な接合を困難としている要因の1つとなっている.そこで,より高強度かつ高信頼な接合を実現するために,レーザ溶融と攪拌プロセスとを複合したレーザ加熱攪拌技術(Laser Melting Stir Process; LMSP)を開発している. LMSPでは,レーザにより急加熱・溶融させた材料を空冷するのではなく,攪拌しながら凝固させていく.このようにすることで,半凝固状態を経て,材料が凝固する.半凝固で溶融させると,材料内の空隙や結晶粒の粗大化を抑制できることが報告されている5).LMSPは,溶融させた材料を攪拌することで,半凝固状態を創り出すことで,機械的特性の向上を目指すものである. 本研究では,提案手法であるレーザ加熱攪拌プロセスLMSPの実現可能性を実験的に検証するとともに,接合部材の機械的性質やそのばらつきを,レーザ溶接による接合部材と比較しながら明らかとする. 図1(a)に,LMSPの加工原理を示す.接合したい2枚の重ね合わせ,接合箇所にレーザを照射すると,溶融池が形成される.この池に攪拌工具を挿入して,攪拌をする.この状態で,加熱・攪拌位置をずらしていくことで,溶融・攪拌・徐冷・凝固という過程で接合プロセスが進展する. LMSPでは,レーザを加熱源としており,レーザ出力やスポット径,送り速度を変えることで,任意に加熱量を制御可能である.また,FSWでは,工具径を大きくして十分− 281 − 異種材料の半凝固微細接合技術「SPLASH」の開発 レーザによる局所温度制御を応用した
元のページ ../index.html#283