助成研究成果報告書Vol.34
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表1に、高温超伝導体REBCO薄膜の成膜条件を示す。パルスレーザーのターゲットはYBa2Cu3Oy(YBCO)を用いた。表面レーザー加熱法を用いてYBCO線材を配向中間層IBAD-MgO基板上に作製した。表面レーザー加熱法には、浜松ホトニクス社製の溶着用光源SPOLD(波長915 nm、連続波)を用い、SiCヒーターによる基板裏面からの加熱を併用した。図5に示すように、膜厚の増加によるREBCO表面温度の低下を考慮し、膜厚ごとにレーザー出力を1 Wから5 Wまで変化させて線材の作製を行った。結晶配向性はX線回折法を用いて、面垂直方向の配向性、面内方向の配向性、a軸、c軸配向粒の混在率を調べた。 2.実験方法 2.1 高温超伝導REBCO薄膜の成膜方法 長表面に対して外部から赤外CWレーザーにより加熱することで、レーザー出力の調整により成膜温度の低下を抑制可能であると考えた。さらに、パルスレーザーを用いた成膜タイミングとCWレーザーによる加熱タイミングを同期させロックイン状態での成膜を行う(ロックインPLD)ことにより成膜過程の分子の凝集過程を明らかにできると考えた。本研究では、ロックインPLD装置の開発の前段階として、表面レーザー加熱中のREBCO薄膜成長装置を既存の成膜装置に組み込むことで、REBCO薄膜のc軸配向膜厚の増加およびIcの向上を目的として、市販REBCO線材の3-4倍の膜厚の8 µmまでの成膜を行った。 本研究では、REBCO線材成膜時の加熱に赤外レーザーを線材の表面(蒸着面)に照射して加熱を行う表面レーザー加熱法を開発した。加熱には、最大出力15 Wの赤外CWダイオードレーザーを用いた。波長は915 nm、ファイバー径400 µm、NA値0.22である。図3に、本研究で用いた表面レーザー加熱法における光学系の模式図を示す。レーザーはファイバーからφ24のコリメーターを通して出力され、入射窓を通ってチャンバー内に入り、基板に照射される。基板の対面に設置された酸化物ターゲットに対して、真空チャンバー外からUVパルスレーザーを照射することでPLD成膜を行った。パルスレーザー発振源は、Lambda Physik社製の KrFエキシマレーザー COMPex201(励起波長 λ = 248 nm)である。繰り返し周波数 100 Hz、最大パルスエネルギーは140 mJ、パルス幅は25 nsである。REBCO線材の 作製においては、ヒーターを用いた従来のCold wall法と表面レーザー加熱を組み合わせた。レーザーを2種類用いたため、以下では加熱用の赤外CWレーザーを加熱レーザー、ターゲット蒸発用の紫外パルスレーザーをパルスレーザーと呼ぶ。図4に、REBCO線材を成膜した真空装置の全体模式図を示す。REBCO線材の基板は、リール間に張られたダミーテープ上に設置され、ヒーターおよび加熱レーザーによって加熱図3. 加熱レーザーおよびPLDの配置の模式図。 図4. PLD装置の全体模式図。 される。真空チャンバーにはリールが収納されており、成膜雰囲気を制御する酸素ガスの流量を制御する出入り口が設置されている。 表1. REBCO薄膜の成膜条件。 ターゲット基板アブレーションレーザーエネルギー密度アブレーションレーザー周波数ターゲット基板間距離酸素分圧SiCヒーター温度成膜時間連続波赤外レーザー波長連続波赤外レーザー出力YBCOIBAD-MgO1.6 J/cm2100 Hz60 mm53 Pa700-1050 ºC10-80min915 nm0-5 W− 277 −

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