助成研究成果報告書Vol.34
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ここでrp: 粒子半径,P: レーザ出力,αL: 粒子のレーザ吸収率,ρ: 粒子の質量密度,Cp: 定圧比熱容量,T: 粒子のマルチレーザ集光部出口での温度,Ta: 室温,ΔHm: 融解潜熱である.この(1)式を用いて,マルチレーザ集光部を通過した粒子の温度Tを見積もったところ,Δfが0 mmの図8 マルチレーザLDED方式におけるマルチレーザ集光位置を通過する粉末の様子を描いた概略図,(a)レーザディフォーカスΔfが0 mmの場合,(b)Δfが0.5 mmの場合8).(c)ノズルから供給された粉末の速度分布のシミュレーション結果8). の微細組織観察結果の理由については後述する. 図7(a)に粒子径約1 μmのWC微粒子をCoボンド材で造粒焼結することで作製したWC-12wt.%Co造粒粉と,図7(b)に造粒粉の拡大像を示す8).また図7にレーザディフォーカスΔfを0 mmの条件で形成した造形層の(c)3層目および(d)2層目の断面微細組織,またΔfを0.5 mmの条件で形成した造形層の(e)3層目および(f)2層目の断面微細組織を示す8).造形層におけるWC粒子の平均粒子径は,Δfが0 mmのとき3層目において2.2 μm,2層目において1.5 μmであった.またΔfが0.5 mmのときでは3層目において5.9 μm,2層目において1.4 μmであった.造形層の3層目に関して,平均WC粒子径は造形前の1 μmよりも粒成長しており,特にΔfが0.5 mmの条件では5.9 μmと粒成長が顕著である.AllibertはWC粒子径0.85 μmのWC-8wt.%Co造粒粉を用いて1450℃,8時間の条件で液相焼結を実施したところ,図7(e)とほぼ同様の微細組織を得たことから9),本研究におけるレーザディフォーカスΔfが0.5 mmの条件ではこれよりもかなりの高温で造形されていることが判断できる.なお2層目に関しては,Δfが0 mmの条件ではWC相に加えてη相等が形成されていたため,Δfが0.5 mmの条件のときの平均WC粒子径との比較はできなかった. 4.考察 これまでの実験結果において重要な点を以下にまとめる.まず造形ビードの基材への接触角αは,Δfを0 mmとしたときよりも,Δfを0.5 mmとしたときの方が小さかった.またレーザディフォーカスΔfを0.5 mmとしたときにはCoボンド材が完全に溶融し,WC微粒子が造形層中に均一分散された微細組織が得られた.さらにWC粒子の粒成長はΔfを0.5 mmとしたときの方が顕著であった.これらのすべての実験結果は,レーザディフォーカスΔfを0.5 mmとしたときには造形温度が上昇することを示唆している. ■■p■■■L■■■4/3■■■p■■■■p■■■■a■■■■m■ (1) そこでレーザディフォーカスΔfを0.5 mmとしたときに,レーザによる粉末の造形温度が上昇することについて考えたい.図8はマルチレーザLDED方式におけるマルチレーザ集光位置を通過する粉末の様子を描いた概略図であり,(a)はレーザディフォーカスΔfが0 mmの場合,(b)はΔfが0.5 mmの場合を描いている8).レーザスポット径は0.3 mm,また使用した装置において向かい合う2本のレーザのなす角は40°であることから,マルチレーザが集光している部分の基材垂直方向距離Lは,Δfが0 mmの場合では約0.412 mm,またΔfが0.5 mmの場合では約0.824 mmとなる.したがってΔfが0.5 mmの場合の方がマルチレーザの集光部を通過している時間は長くなるため,粉末に与えられるレーザ熱量は多くなる. 図8(c)はノズルから供給された粉末の速度分布のシミュレーション結果である8).粉末の流体シミュレーション解析は,Arガス供給量,ノズル径,および粉末供給量等を考慮してSCRYU/Tetraソフトウェアを用いて行った.図8(c)中のノズルから4.0 mm下方に離れた位置が,図8(a)および(b)におけるマルチレーザ集光部の入口位置に対応する.この結果からマルチレーザ集光部を通過している粉末の平均速度は,Δfが0 mmの場合で約19 m/s,またΔfが0.5 mmの場合で約18 m/sと見積もられた.従って粉末がマルチレーザ集光部を通過している時間tは,Δfが0 mmの場合で約2.2×10-5 s,またΔfが0.5 mmの場合で約4.5×10-5 sとなる.ここでマルチレーザ集光部を通過した粒子の温度Tは,以下の式で表される10). − 274 −

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