まずレーザスポット径0.3 mm,レーザ出力140 W,レーザ走査速度10 mm/sの加工条件で,レーザディフォーカスΔfを0および0.5 mmとしたときのWC-12wt.%Co造粒粉の造形ビードを加工した. 次にWC含有量が段階的に傾斜した造形層(15 mm × 15 mmの面状)を造形した.1層目はCo-Cr-W合金粉のみ,2層目はCo-Cr-W合金粉とWC-12wt.%Co造粒粉の混合粉を,そして3層目はWC-12wt.%Co造粒粉のみを積層造形した.レーザ出力は1層目を100 W, 2層目と3層目を120 Wとした.レーザスポット径0.3 mm,レーザピッチ幅0.2 mm,オーバーラップ50%,レーザ走査速度10 mm/sとし,レーザディフォーカスΔfが0および0.5 mmのそれぞれの条件で造形層を加工した. 2・3 造形材の評価 得られた造形ビードと造形層を基材ごとレーザ走査方向に対して垂直に切断し,造形部断面を光学顕微鏡,SEMによる微細組織観察,エネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy: EDX)による組成分析を行った.またX線回折による相の同定,およびビッカース硬度試験を行った. 3.実験結果 レーザディフォーカスΔfを(a)0 mmおよび(b)0.5 mmとして各3本ずつ加工したWC-12wt.%Co造形ビードの外観を図4に示す8).またΔfを(c)0 mmおよび(d)0.5 mmとして加工したWC含有量が段階的に傾斜した造形層の外観を図4に示す8).レーザ走査方向は図4に示したx軸方向であり,また積層方向はz軸方向である.造形ビードと造形層をy軸方向に沿ってS45C基材ごと切断し,造形部の断面観察を行った. 図4 レーザディフォーカスΔfを(a)0 mmおよび(b)0.5 mmとして加工したWC-12wt.%Co造形ビードの外観8).Δfを(c)0 mmおよび(d)0.5 mmとして加工した造形層の外観8). WC-12wt.%Co造粒粉である.図2(c)はWC-12wt.%Co造粒粉の拡大像であり,Coボンド材で結合されたWC微粒子が確認できる8).また図2(d)にCo-Cr-W合金粉,図2(e)にWC-12wt.%Co造粒粉の粒子径分布を示した8). 図2(a)Co-Cr-W合金粉,および(b)WC-12wt.%Co造粒粉のSEM二次電子像8).(c)WC-12wt.%Co造粒粉の拡大像8).(d)Co-Cr-W合金粉,および(e)WC-12wt.%Co造粒粉の粒子径分布8). 2・2 LDEDによる積層造形 本研究では,マルチレーザ式LDED装置を使用して積層造形実験を行った6).図3(a)に従来型のLDED方式の概略図を示す8).従来型のLDED方式では,基材に対して垂直に1本のレーザを照射することで溶融池を形成し,その溶融池に粉末を投入することで積層造形を行う.一方,図3(b)に示したマルチレーザLDED方式では6本のレーザを基材に対して斜め照射し,それら6本のレーザを基材表面に集光することで溶融池を形成する8).この方式では,図3(c)に示すように6本のレーザの集光位置を基材上方にオーバーフォーカスすることも可能である8).この基材上方にレーザの集光位置をずらした量を,ここではレーザディフォーカスΔfと呼ぶことにする.本研究では,このΔfを変化させたときの造形層の微細組織の変化に焦点をあてて実験を行った. 図3(a)従来型のLDED方式の概略図8).(b)マルチレーザLDED方式でレーザ焦点位置を基材表面に合わせた場合の概略図8).(c)マルチレーザLDED方式でレーザ焦点位置を基材上方にオーバーフォーカスした場合の概略図8). − 272 −
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