助成研究成果報告書Vol.34
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図4 熱拡散層としてTi層を導入し、熱遮断層を厚くした場合のSi表面温度およびPI基板表面温度 図5 ELA前後のSi膜の反射率スペクトル 図3 熱拡散層としてTi層を導入した場合の(a)Si膜の温度、および(b)PI基板表面の温度 3.実験結果 3・1 青色半導体レーザによるSi膜の結晶化 図2の試料構造(a)に対する温度解析の結果を図3に実線で示す。レーザ照射にともないSi膜温度が急激に上昇し、数µs程度の急速熱処理ができることが確認された。膜温度はレーザエネルギー密度の増加とともに上昇するが、アモルファスSi(a-Si)膜が溶融する1423 K程度に達するのは60 mWの条件となった。しかしこのとき、熱遮断層を挟んでいるものの、PI基板表面は1070 Kに達しており、軟化点を超えている。 次に基板表面の熱集中を緩和する目的で、熱遮断層の下に熱拡散層としてTiを用いる構造(試料構造(b))を考え、同様に温度解析により検討した結果を図3の破線で示す。Ti層を導入することで、熱遮断層下部においてレーザ照射の前方方向への熱拡散が促進されPI基板表面の最高温度を70 K程度低減できることが分かった。しかし、PI基板表面を軟化点以下にすることはできなかった。そこで、熱遮断膜を厚くした構造(試料構造(c))について検討した。1950 nm厚の熱遮断層を用いることで、a-Si膜が溶融すると見込まれる条件でもPI基板表面温度を730 K程度に抑えられることが分かった。 次にそれぞれの試料(試料構造(a)~(c))を実際に作製した。Ti層を真空蒸着法により製膜したのち、熱遮断層、SiO2、a-SiはそれぞれRFスパッタ法により真空一貫で成膜した。作製した試料に青色半導体レーザを照射したのち試料の様子を観察した。しかし今回検討した条件では、結晶化が確認できた試料も膜剥がれが発生し、Tiやバッファ層など、基板以外にも急速熱処理中の温度やアブレーション、応力などの影響を検討する必要があることが分かった。 3・2 エキシマレーザによるSi膜の結晶化と金属ソース/ドレイン構造TFT 次にエキシマレーザにより試料作製を行なった結果を示す。図2の試料構造(a)を用い、エネルギー密度70 – 90 mJ/cm2の条件でELAを行なった試料の反射率スペクトルを図5に示す。ELAを施すことで、結晶性Siの形成に起因する280 nmおよび360 nm付近の反射率スペクトルにピークが発現し、Si膜が結晶化したことが確認できた。 それぞれの試料の表面形状について原子間力顕微鏡により評価した結果を図6に示す。エネルギー密度の上昇に伴い平均二乗誤差(RMS)値が大きくなっており、レーザ照射によりSiが結晶化し結晶粒が成長したことを反映していると考えられる。 − 268 −

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