助成研究成果報告書Vol.34
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図1 金属ソース/ドレイン構造poly-Si TFT構造 図2 試料構造 キーワード:薄膜トランジスタ,フレキシブル基板,レーザアニール 2.実験方法 2・1 青色半導体レーザによるSi膜の結晶化 ポリイミド(PI)基板上にRFスパッタ法により製膜したSi膜に波長405 nmで連続波の青色半導体レーザを照射してSi膜を結晶化する場合を想定し、レーザ照射時の膜および基板温度を熱伝導方程式から温度解析により検討熱遮断層(600 nm)a‐Si (50 nm)SiO2 (100 nm)Polyimide (PI)Glassいた図2(a)の構造を想定し、レーザ走査速度を500 mm/sで一定とし、レーザエネルギー密度をパラメータとして解析した。また、PI基板への熱負荷低減を目指し、熱拡散層としてTi層を導入した構造(図2 (b))、さらに熱遮断層を厚くした構造(図2 (c))についても検討を進めた。さらにそれぞれの構造に対して実際にレーザを照射して効果を検証した。 2・2 エキシマレーザによるSi膜の結晶化と金属ソース/ドレイン構造TFT PI基板上にRFスパッタ法により製膜したSi膜に波長351 nm (XeF)のエキシマレーザアニール(ELA)を施し、反射率スペクトルにより結晶性、原子間力顕微鏡により表面形状を評価した。また、ELAを施した試料を用いて金属ソース/ドレイン構造poly-Si TFTを作製して電気特性を評価し、4% H2アニールの効果を検討した。 熱遮断層(600 nm)a‐Si (50 nm)SiO2 (100 nm)Ti(50 nm)Polyimide (PI)Glass熱遮断層(1950 nm)a‐Si (50 nm)SiO2 (100 nm)Ti(50 nm)Polyimide (PI)Glass(a)(b)(c)ィスプレイへの要求も大きくなっている。現在主流のディスプレイはガラス基板上に形成されているが、基板の特性から、落とすと割れる、曲げられない、重い、などの課題がある。この基材となるガラスを、フレキシブルなプラスティックに置き換えることができれば、落としても割れない、折り曲げ可能、軽量で扱いやすいフレキシブルディスプレイの実現が期待できる。ディスプレイの画素の駆動には薄膜トランジスタ(TFT)が用いられており、画面のムラなく、高コントラスト、高速駆動などが求められ、特に半導体層の結晶性、信頼性が求められる。プラスティック基板への応用に向けては、低温で製膜可能な有機半導体や酸化物半導体の研究が盛んであるが、信頼性と長期安定性は従来から広く用いられてきた無機半導体のSiが有利であると考えている。高性能なTFTを作製するためには、Siに熱処理を施し結晶性を向上させたpoly-Siを形成することが有効であり、特にプラスティックなどの基材に熱的ダメージを与えず、Siのみを高温にして結晶化するためには、高エネルギー密度のレーザをごく短時間照射することが有効である。また、低温でTFTを作製するためには、ソース/ドレイン領域も低温で形成する必要がある。従来のpoly-Si TFTの製造工程では、イオン注入もしくは不純物ドーピングを行なった後に高温の活性化アニールすることでソース・ドレイン領域を形成しているが、これを金属に置き換えることで高温の活性化アニールが不要となる[1, 2]。この金属ソース/ドレイン構造TFT(図1)は、本研究室で提案し、検討を行なっている。本研究では、プラスティック基板としてポリイミドを用い、Si膜の結晶性を上げつつ、レーザ照射時の基板への熱ダメージを低減する熱バッファ層について、数値計算による温度解析を用いて検討を行った。また、RFスパッタ法により製膜した熱バッファ層やSi膜に対してレーザ照射を行い、Si膜の結晶化、またTFT特性についても検討を行った。 した。まず従来から用いている構造として、熱遮断層を用1.研究の目的と背景 スマートフォンやタブレットの普及に伴い、中・小型デ琉球大学工学部 電子情報通信コース (2018年度 奨励研究助成(若手研究者) AF-2018236-C2) 助教 岡田 竜弥 熱遮断層− 267 −TiPolyimide (PI)GlassTiSourceGateAlSiO2SiSiO2Drainフレキシブル基板上poly-Si TFT作製に関する研究

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