助成研究成果報告書Vol.34
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図12. (a) 1を含む水溶液中での液中レーザーアブレーションにより得られた溶液のESI-TOF-MSスペクトル.(b) ESI-TOF-MS測定結果から推測される鉄錯体の構造. 図10. (a) 1, (b) 2, (c) 3 を含む水溶液中での液中レーザーアブレーションにより得られた溶液のESRスペクトル. 図11. (a) 3 を含む水溶液中での液中レーザーアブレーションにより得られた溶液のESI-TOF-MSスペクトル.(b) ESI-TOF-MS測定結果から推測される鉄錯体の構造. 1) Z. Adam:Astrobiology, 7 (2007), 852. 2) S. Ebisuzaki, S. Maruyama:Geosci. Front., 8 (2017), 275. 3) J. A. Dharmadhikari, A. K. Dharmadhikari, K. C. Kasuba, H. Bharambe, J. S. DˊSouza, K. D. Rathod, D. Mathur:Sci. Rep., 6 (2016), 27515. ピークが検出され,同位体パターン解析の結果,これが2核の鉄イオンに対し3分子の3が2座で配位し,ヒドロキシ基が4つ付いた錯体であることが強く示唆された (図11).さらに,1を用いた場合については,4分子の1が配位した単核錯体である事が示唆された (図12). 4.まとめ 本研究では,パイライトをターゲットとした液中レーザーアブレーションよる酵素様物質の合成を目指し,まずアブレーションにかかる溶媒依存性について,界面活性剤水溶液や種々の有機溶媒を用いて検討を行った.その結果,ほとんどの溶媒系ではヘマタイトナノ粒子のみを与えたのに対し,アセトン中では,minor productとして鉄硫黄ナノ粒子が生成することを見出した.そこでさらにアブレーション条件下で共存する分子の配位特性が,鉄硫黄ナノ粒子の安定性に対し,どのように影響するかを明らかにするため,低分子ペプチドを含む種々の配位性有機分子存在下での水溶液中でのアブレーション実験を行った.その結果,含硫黄有機分子中でのみ,鉄錯体の混合物を与えることを確認し,その生成量がpHの変化に応じて変化する事を見いだした.現時点では鉄単核の錯体のみが検出されており,鉄硫黄クラスターを含む錯体は検出されていない.その原因としてもっともあり得るのが,生成物の不安定性による分析プロセス中での分解である.今後,その場観察実験も視野に入れ,反応条件および分離・同定プロセスのさらなる検討を行う. 本研究は公益財団法人天田財団の奨励研究助成のご支援を受けて実施しました.深く感謝致します.本研究の成果は実際の実験・解析を担当してくださった大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻 本橋優香 氏の不断の努力の賜です.また,共同研究者である同大学院工学研究科 櫻井英博 教授,大阪大学レーザー研究所 猿倉信彦 教授,清水俊彦 准教授,南 佑輝 特任研究員,東京大学大学院総合文化研究科 真船文隆 教授,中央大学理工学部 岡島 元 准教授,青山学院大学理工学部 坂本 章 教授に深く感謝し致します.ESI-TOF-MS測定と化合物の同定に関し多大なサポートを賜りました大阪大学大学院理学研究科技術部 伊藤彰厚 氏に深く感謝致します.最後に,マイクロチップレーザーを快く貸与くださった理化学研究所放射光科学研究センター 平等拓範グループディレクターに心よりお礼申し上げます. 謝 辞 参考文献 − 265 −

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