助成研究成果報告書Vol.34
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図2 作製したV-5Cr-5Ti合金の外観。 ‐0.33 +0.90 +0.04 2.実験方法 2・1 合金の試作 VV9900CCrr55TTii55 Ti322V28Nb10Zr10AAll20 Ti388V3300Nb10AAll222 ココヒヒーーレレンントト散散乱乱長長 ((ffmm)) 2・2 治具の製作 上記の検討を踏まえ、組成はV90Cr5Ti5最適と判断し、実際の治具として使用するためにV-5Cr-5Ti (mass%)合金のインゴットを作製した。VおよびTiは溶融により酸素を不純物として包含しやすく、またルツボ材料と反応を起こす可能性も指摘された。このため本合金の作製は物質・材料研究機構(NIMS)に技術代行を依頼し、共用設備である水冷銅ルツボ高周波誘導溶解設備を用いて鋳造した。この装置を用いることで、不活性雰囲気中でかつ磁気浮上した状態で溶解・凝固が可能となり、不純物の少ない材料の製造に成功した。 鋳塊は1100℃予熱後の熱感鍛造と溝圧延により角棒状へと加工され、機械加工により酸化物層を取り除いて図2に示すようなφ30 mmの丸棒とした。 これを分割し、図3に示す圧縮試験治具を作製した。入射中性子が治具へ直接照射された際のバックグランド上昇が懸念されたため、入射側には中性子吸収材であり、かつ耐熱性に優れたB4C焼結体のスリットを取り付けた(図3丸棒治具の裏側に相当する)。このスリットとV-Cr-Ti治具を保持する部分はSUS630で製作した。 2・3 高温変形中のその場中性子回折実験 本研究で開発した治具の実証実験として、Fe-15mol%Ga合金の単軸圧縮変形試験を行った。変形中の120 s毎に得られた中性子回折情報から、集合組織を解析し、その変遷を調査した。解析法の詳細については、既報の引張変形の場合6)と同様であるため、ここでは割愛する。 る多数の異なる位置に設置された検出器を利用するため、治具と中性子経路の干渉は不可避である。 以上の背景から、その場中性子回折によって治具挟み込み変形中の微細組織評価を行うためには、ビーム径路上に存在していても、中性子ビームの吸収やノイズ発生をほとんど起こさない、いわば中性子的に「透明」な材料を治具として使う必要があると考えた。これが実現すれば、その場中性子回折実験のデザインの自由度は大幅に拡張することになる。 上述の背景を受けて、本研究では中性子に対して透明であり、かつ高温強度の高い治具材料を開発することを目的とした。中性子回折の起こりやすさを表すコヒーレント散乱長は元素(同位体)により固有であるが、Tiなどは負の値を持つ。これを正の散乱長を持つ他元素と混合し固溶体合金とすると、合金の散乱長は単純に組成で重みづけした平均値となる。すなわち、コヒーレント散乱長がゼロの合金を作ることが出来る。このような組み合わせは様々なものが考えられるが、高温変形治具として十分な強度、耐熱性を持っているものを探索する必要があった。 ゼロ散乱長の達成が可能と目される組成の合金を作製し、その機械的性質を調査するために、アーク溶解装置を用いて少量鋳造を行った。実験を行った組成と完全に固溶体であると仮定した場合のコヒーレント散乱長を表1に示す。なお中性子回折での試料容器等に広く用いられる純バナジウムのコヒーレント散乱長は-0.38であり、これと同程度もしくはそれ以下のコヒーレント散乱長と、高温強度を兼ね備える合金を目標とした。V90Cr5Ti5は、バナジウム基の耐熱合金であり、原子炉部品としての応用可能性から過去の研究報告が比較的豊富であった7,8)。残りの合金は近年研究が盛んなBCC構造のハイエントロピー合金に近い組成を持つものである。多様な元素をほぼ等量混合することにより固溶体相が得られるハイエントロピー合金は、高温での特性に優れると言われている9)。混合エントロピーΔS mixを最大化するためには、5元素を等量配合する必要があるが、ここでは平均コヒーレント長の絶対値を小さくするために組成を調整した。Ti32V28Nb10Zr10Al20はハイエントロピーであることを重視し、ΔS mix /R = 1.50 (Rは気体定数)となる5元系合金、Ti38V30Nb10Al22はS/R = 1.29でありミディアムエントロピー合金であるが、コヒーレント散乱長の最小化を重視した組成である。 表1 合金組成とコヒーレント散乱長。 組組成成 − 230 −

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