助成研究成果報告書Vol.34
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3.実験結果 3・1 膜の組成,構造および硬さ・弾性率に及ぼすN2ガス分率の影響 膜組成に影響を与えうる成膜パラメータのうち,N2+Ar混合ガスのN2ガス分率に着目した実験を行った.表1に示すように,アーク電流,N2+Ar混合ガス流量および基板バイアス電圧などを固定し,N2ガス分率を0~0.35の間で変化させて,成膜実験を行った. N2ガス分率 表1 ガス組成の影響に着目した成膜条件 成膜装置 シールド アーク電流 (A) 全圧 (Pa) 成膜時間 (min) 図2 膜組成に及ぼすN2ガス分率の影響 タターーゲゲッットト 図1 シールドの外観(UBMS202) 2・2 膜の評価 2・2・1 組成 膜の組成は,FE-SEM(株式会社エリオニクス製 ERA8900-FE)に付属されたエネルギー分散型X線分光分析装置(EDX:アメテック株式会社製)を用いて調べた.B+CF焼結体ターゲットを用いたため,ホウ素(B),炭素(C)および窒素(N)のみを分析元素とし,ドロップレットを避けて10か所測定を行い,平均値を求めた.また,比較として,h-BN焼結体(φ20 mm×t5 mm,純度99%以上:株式会社 高純度化学研究所)の組成も同様の条件で分析した. 2・2・2 構造 BN膜の構造は,フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)で調べた.分析装置は,アジレント・テクノロジー株式会社製のAgilent Cary 640で,透過法にて構造解析を行った.BN膜では,h-BNとc-BNのIR吸収位置が1360 cm-1(h-BN TO),1050 cm-1 (c-BN)および760 cm-1(h-BN LO)と明瞭に区別でき,かつ非晶質薄膜においても比較的明瞭なピークを得ることができる.基板であるSiの影響を除去するため,Si基板のみで毎回バックグラウンド測定した直後に試料の測定を行った. 2・2・3 硬さ・弾性率 膜の硬さ・弾性率は,HYSITRON社製のTI 950 TriboIndenterを用いて,ナノインデンテーション法で調べた.硬さ・弾性率測定に供した膜の厚さは,断面のFE-SEM観察結果からおよそ200~300 nmであり,ナノインデンテーション法でダイヤモンド圧子を押し込んだ際の接触深さがその膜厚の1/10以下となるように最大荷重を調整した.ドロップレットが付着したままでは再現性のあるデータを取得するのは困難であるため,乾式研磨により膜表面に付着したドロップレットを除去した.乾式研磨装置は,株式会社ヤマシタワークスのAERO LAP(YT-100)で,研磨剤の番手は#3000,コンベアスピードは最低の10,エアはOFFとした.さらに再現性のあるデータを取得するため,ダイヤモンド圧子で膜表面を軽い荷重(1.2 μN)で走査して表面形状像を取得した後,平坦な領域を狙って硬シシーールルドド さ・弾性率を測定した.得られた10個以上のデータを用いて,平均値と標準偏差を算出した. 基板バイアス電圧 (V) ヒーター温度 (℃) 図2に膜の組成(B,C,N)に及ぼすN2ガス分率の影響を示す.また,図2には,h-BN焼結体の組成分析結果を横軸水平に示す.h-BN焼結体からは,BとNに加えて,理由は不明であるがCもわずか検出された.N2ガス分率の増大に伴い,膜中のBとC濃度が減少し,それに対してN濃度が増大する傾向が認められた.h-BN焼結体と比較すると,今回得られた膜にはNに対してBが過剰に含まれていると考えられる. 図3にN2ガス分率の膜構造に及ぼす影響に関する赤外吸収スペクトルを示す.N2ガス分率が0(Ar雰囲気)の条件で成膜した膜の吸収スペクトルのピーク位置はおよそ1190 cm-1であった.B-C結合の赤外吸収スペクトルのピークは1070~1250 cm-1の範囲に位置し,C濃度が増大するN2+Ar混合ガス流量 (ml/min) UBMS503 有り 60 300 0~0.35 約1.0 -100 700 10 − 225 −

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