助成研究成果報告書Vol.34
217/332

図1 チャネルダイ内圧縮接合の模式図 キーワード:軽金属,強度,耐食性 るLA143合金(Mg-14 mass%Li-3 mass%Al)を用いた。LA143合金圧延板に対してAr雰囲気において573 K、1 hの熱処理を施し、水冷した。その後チャネルダイ内での冷間多軸鍛造(MDFC:multi-directional forging in channel die)を施した。チャネルダイ内の潤滑剤としてポリテトラフルオロエチレンを用いた。力学特性の加工量依存性を評(2018年度 奨励研究助成(若手研究者) AF-2018044-C2) 価するために、室温での圧縮試験を行った。試験片寸法は4×4×8 mm3であり、ひずみ速度は1.0×10-3 s-1とした。LA143合金の微細組織をFE-SEM (Field Emission Scanning Electron Microscope)/EBSD (electron backscatter diffraction)およびWAXS (wide-angle x-ray scattering)により観察した。 2.3. Mg/Al 複合材の作製と特性評価 Mg/Al 複合材の原料であるMgとして厚さ1 mmのLA143合金(熱処理条件:573 K、1 h、水冷)およびAlとしてA1050(熱処理条件:773 K、1 h、水冷)を用いた。Mg/Al 複合材をチャネルダイ内圧縮接合法により作製した(図1)。圧縮接合は室温においてひずみ速度は1.0 s-1で行い、圧縮量は50%とした。チャネルダイ内の潤滑剤としてポリテトラフルオロエチレンを用いた。Mg/Al 複合材の微細組織をFE-SEM/EDS (energy dispersive X-ray spectroscopy)およびVickers硬度試験により評価した。 Mg/Al複合材の力学特性を評価するため引張試験をひずみ速度1.0×10-3 s-1、室温の条件で行った。耐食性を腐食環境下における重量変化から評価した。腐食液として0.1 mol%HClおよび0.1 mol%H2SO4を用いた。Mg/Al 複合材における耐食性試験は接合時の圧縮方向と垂直な面(TD-LD面)に対して行い、A1050のみが腐食液と接触するようにした。 に大きな需要がある。輸送機器に用いられる代表的な軽金属材料としてMg合金およびAl合金が挙げられるが、それらの特性は一長一短であると言える。例えばMg合金は優れた軽量性と強度を有するが、加工性と耐食性に劣る。またAl合金は優れた耐食性を有する一方で、密度当たりの強度がMg合金より劣る場合が多い。したがって、それらの欠点を克服した新たな軽金属材料の開発に期待が寄せられている。 複雑な組織制御プロセスを経ることなく材料特性を大きく変化させる手法として、異種金属の接合がある。特性の異なる金属を物理的な塑性加工により接合することで、単一の金属では到達し得ない高性能化が可能になる。目的に応じた高性能複合材を作製するためには、その原料となる金属材料の選定および組織制御が重要になる。 本研究では、軽量かつ高強度のMg合金と高耐食性Alを塑性加工により接合し、強度と耐食性を両立した軽量Mg/Al複合材を創製することを目的とする。一般的にMg合金は加工性が悪いため、接合のための大きな塑性加工中に破壊に至る。そのため本研究では加工性を向上させるためにLiを添加したMg合金を選択した。Mg-Li基合金は他のMg合金に比べて強度が低いため、加工熱処理による組織制御を行った後にMg/Al複合材の原料とした。またそのための組織制御条件を検討した。得られたMg/Al複合材の力学特性と耐食性を調査し、新たな軽金属材料としての特性を評価した。 2.実験方法 2.2. Mg合金の組織制御および特性評価 本研究ではMg合金として軽量性および加工性に優れ1.研究の目的と背景 省エネルギー化の観点から、輸送機器の軽量化は社会的弘前大学 理工学研究科 助教 峯田 才寛 − 215 −冷間塑性加工を利用したMg/Al 接合による高性能複合材料の開発

元のページ  ../index.html#217

このブックを見る