助成研究成果報告書Vol.34
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キーワード:異種接合,CFRTP,アルミニウム合金 2.実験方法 2・1 供試体 おり,異種材料の接合技術の開発は重要である.現在行われている異種材料の接合方法としてはボルトやリベットを用いた機械的締結や接着剤による接着が多く行われているが,機械的締結では締結具による重量増加や締結部分への応力集中,接着剤では硬化時間による生産性の悪さといった問題点も存在する.CFRTPと金属の異種直接接合の研究としては,超音波振動による接合やレーザー接合,摩擦重ね接合など異なる加熱方法を用いて直接接合が行われている.なかでもホットプレスを用いた接合は接合面が点や線でなく面になるため他の手法と比べて大きく,大気中で容易に接合を行うことができるという利点がある. また,金属材料とCFRTPの異種直接接合強度向上の手法としては,金属表面に微細な凹凸構造を作製しそこに樹脂を含浸させてアンカー効果により接合強度を向上させる方法が提案されている1).アルミニウム合金表面にナノ構造を作製する手段としては,酸性水溶液中で電流印可をする陽極酸化処理技術が提案されており,処理条件を変えることで表面の微細凹凸の形状を変えることができる2)~8).シランカップリング剤は分子内に有機物および無機物と結合する官能基を併せ持つ薬剤であり,接合する金属とCFRTPそれぞれに適したシランカップリング剤を用いることで高い強度で直接接合を行うことができることが知られている.これまでの研究では,表面構造を用いることで異種直接接合強度が向上することは確認されているものの,表面構造の形状が接合強度や破壊形態に与える影響については明らかにされていない.またホットプレスにてCFRTPとアルミニウムの接合と成形を同時に行う技術は開発されていない. そこで本研究では,アルミニウム合金表面上に異なる形状のナノ凹凸構造を新規に作製し,CFRTP積層板とアルミニウム合金を接合させたシングルラップジョイント試1.研究の目的と背景 輸送機器の燃費向上を目的として比強度,比剛性に優れる炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastics : CFRPs)の適用が進められている.中でも炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Thermoplastics: CFRTPs)は成形性やリサイクル性に優れていることから量産型の自動車などでの適用が期待されている.CFRTPを輸送機器に適用するにあたり,異種材料を適材適所に配置するマルチマテリアル化が進められて早稲田大学 機械科学・航空宇宙学科 (2018年度 奨励研究助成(若手研究者) AF-2018043-C2) 教授 細井 厚志 験片を用いて,接合強度を評価した.さらに,異種接合体のプレス成形性について評価を行った. 本研究では,せん断強度試験についてはPA6を母材とした平織CFRTP積層板と圧延まま材のアルミニウム合金板A5052を用いた.サンプルの厚さはそれぞれ2mmである.プレス成形には母材がMXD6のCFRTPとアルミニウムA1050を用いた.サンプルの厚さはそれぞれ,0.2mm,0.1mmである.使用した平織CFRTP積層板の諸元を表1に,A5052及びA1050の組成を表2及び3に示す. 2・2 表面ナノ構造の作製 陽極酸化処理及びエッチング処理によりアルミニウム合金表面上にナノ構造を作製した.陽極酸化処理は図1(a)に示すようにアルミニウム合金を陽極につなぎ,酸性水溶液中で電気分解を行うことによって,その表面にポーラス状の酸化被膜が自己組織化される.この孔の形状は使用する酸性水溶液や電気分解条件に依存する.また,陽極酸化処理後に図1(b)に示すように酸化被膜を酸性水溶液に含浸させることによって,ポーラス構造の孔壁がエッチングされて孔同士がつながり,結果としてスパイク状の表面ナノ構造を作製することができる.以上のように,陽極酸化処理とエッチング処理を組み合わせることによって,アルミニウム合金に任意の形状の表面ナノ構造を作製することができる.ホットプレスによる熱溶着は大気中で行うたMelting point °C Fiber volume fraction Vf % Woven carbon fiber Stacking sequence Si Al 0.11 0.30 0.03 0.06 2.57 0.22 0.03 0.02 96.66 Si Al 0.04 0.32 0.01 0.01 0.01 0.02 0.01 0.02 99.56 Table 1 Specifications of CFRTP. Matrix resin Table 2 Composition of A5052 (mass%). Fe Ti Cu Mn Mg Cr Table 3 Composition of A1050 (mass%). Fe V Cu Mn Mg PA6/ MXD6 225 50 Toray T300B-3K [(0/90)n]T Zn Zn Ti − 209 −ナノ空間構造を有する金属材料と炭素繊維強化熱可塑性プラス チックの異種材直接接着技術の開発とプレス成形への応用展開

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