助成研究成果報告書Vol.34
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3. 自己強化スクリューの成形手法の確立と力学的特性調査 3・1 成形方法 汎用グレードのPLAペレット (Ingeo 3001D,Nature Works製)を材料として使用し,以下に示す3つの成形方法で自己強化スクリューの成形を試みた.スクリューの寸法はすべてM6長さ30 mmとした.PLAペレットは成形前に大気圧下で70 °C,7時間以上絶乾された. 3・1・1 成形方法A (キャスト法) 図8 L乳酸及びステアリン酸を用いて界面処理した図6 L乳酸及びステアリン酸を用いて界面処理した 図7 L乳酸及びステアリン酸を用いて界面処理した キャスト法によってスクリューを直接成形した.キャスト法では超小型一軸混練押出機 (PPKR-mini,井元製作所)を使用して,ペレットを融解し,M6スクリューの成形用の金型に押出す.金型に融解した樹脂を充填した後,室温下でコールドプレスを行った.成形条件は成形温度200 °C,スクリュー回転速度100 rpmとした. 3・1・2 成形方法B (押出延伸及び鍛造) 成形方法Bはキャスト法,押出延伸,鍛造の3工程によってスクリューを成形した.最初にキャスト法によって直径8.5 mm,長さ22 mmのビレットを成形した.次に押出延伸によってビレットを延伸した.押出延伸はホットプレスを使用して金型を130 °Cに加熱し,潤滑材としてPEG(Polyethylene Glycol)を用いて押切ることで延伸した.次に鍛造によってねじ山を成形した.鍛造用の金型は130 °Cまで加熱され,材料をセットした後,押切荷重13 kNで圧縮することによりねじ山を成形した. 3・1・3 成形方法C (延伸スクリュー成形) 成形方法Cでは成形方法Bの工程を短縮するために,押出延伸においてビレットの延伸とねじ山の成形を同時に行った.最初にキャスト法によって直径8.5 mm,長さ22 mmのビレットを成形した後,押出延伸を行った.なお,延伸のみの押出延伸と区別するために延伸とねじ山の成形を同時に行う押出延伸を延伸スクリュー成形とした.延強度及び弾性率をそれぞれ図7と8に示す.これらの結果, L乳酸の量の増加とともに引張強度の低下が見られた.一方で,ステアリン酸の引張強度は0 phcの約18.6 MPaから6 phcでは約28.0 MPaと約1.5倍となることが示された.小林らはL乳酸によって界面処理したβ-TCP/PLA複合材料の引張強度を調査した6).この結果,β-TCP 含有量30 mass%において,L乳酸を0 %から6 %に増加させた結果,引張強度が約33 MPaから約38 MPaに増加することを報告している.この傾向は本研究では逆の傾向となった.これはL乳酸の界面処理の際に溶媒が十分に揮発しない状態で真空乾燥炉によって乾燥させたことが原因と考えられる.これによって真空乾燥炉内でβ-TCP粉末が沈殿したL乳酸によって凝集し,解砕時にL乳酸が脱落したと考えられる.また,24 phcではL乳酸,ステアリン酸ともに6 phcよりも引張強度と弾性率の低下が見られた.これはL乳酸やステアリン酸の量が過剰となり,界面層が厚くなりすぎたためと考えられる. 以上より,ステアリン酸を用いて6 phcにて界面処理をした結果,引張強度が約1.5倍となることが示された.今後は界面処理方法や界面処理量についての検討が必要と考えられる. β-TCP/PLA複合材料における応力ひずみ曲線 β-TCP/PLA複合材料の引張強度 β-TCP/PLA複合材料の弾性率 − 206 −

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