助成研究成果報告書Vol.34
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図1 PLA板及びβ-TCP/PLA板の各延伸温度での高温引張R0+2R0-1 いて配向関数を決定することで調査した.試料は樹脂埋めされた後,軸方向断面が切出され,鏡面になるまで研磨された.この試料から得られた赤外線吸収スペクトルにおける923 cm-1の吸収ピーク4)から結晶の赤外線二色比R (延伸方向に垂直に偏光した赤外線の吸光度/並行に偏光した赤外線の吸光度)を求める.このRから下式を用いて配向関数fcを求めた.ここでR0 = 2cot2であり,は赤外線吸収バンドの遷移モーメントと分子鎖軸とのなす角度で, = 90ºである5). fc=R-12・3 実験結果 2・3・1 引張延伸条件の検討 引張延伸条件を決定するために2・1・1に示す延伸温度を40 °C~100 °Cに変化させて,PLA板とβ-TCP含有率15 mass%のβ-TCP/PLA板の高温引張試験を行った.この結果得られた応力-試験時間線図を図1に示す.これより,PLA板とβ-TCP/PLA板の試験時間はどちらも延伸温度とともに増加し,最大応力は低下することが示された.次に各延伸温度で可能な延伸比の最大値を調査するために試験前後の試験片長さの比を最大変形比とし,最大応力とともに延伸温度と比較した結果を図2に示す.この結果,PLA板は延伸温度80 °Cで最大変形比3.42,β-TCP/PLA板は延伸温度70 °Cで最大変形比2.51となることが示された.これより,本研究ではPLA板とβ-TCP/PLA板の両方でより大きな延伸比を取ることができる延伸温度70 °Cとし,延伸比を1.5で延伸することとした. (2) 2・1・2 界面処理した試験片の成形 複合化の前にβ-TCP粒子表面に界面処理を行い,機能性界面層の付与を行った.界面層の材料には人体に対して無害なL乳酸とステアリン酸を使用した. 界面処理では,最初に200 mlの溶媒にL-乳酸もしくはステアリン酸を溶解させた.溶媒はL乳酸では精製水,ステアリン酸ではエタノールをそれぞれ使用した.その後,L-乳酸もしくはステアリン酸の溶解した溶液に50 gのβ-TCP粒子を加えて撹拌した.次に,エバポレーター (N-1100,東京理化器械製)や真空乾燥炉 (AVO-200V ,AS-ONE製)を用いて溶媒を揮発させた.乾燥後は界面処理したβ-TCPが凝集するため,粉砕機とふるいを用いて解砕した.なお,界面処理に用いるL-乳酸やステアリン酸の量はβ-TCP粒子の重量100 gに対して0 g, 6 g, 24 gと変化させた.本研究ではこの重量比のことをphcと定義し,0 phc, 6 phc, 24 phcと表記する. 次に界面処理したβ-TCP粉末とPLAペレットの押出混練を行った.PLAペレットとβ-TCP粉末は二軸混練押出機 (KRCニーダ,栗本鐵工所製)を用いて混練温度200 °C,スクリュー回転速度96 rpmで混練された. 混練されたβ-TCP/PLAは押切成形により,β-TCP含有率30 mass%の平板を成形した.押切成形は金型に離型のためのPTFEのシートとともにβ-TCP/PLAをセットし,自作のホットプレスを用いて成形温度200 °Cに加熱する.その後,押切荷重5 kNを負荷して,10分間静置した後,水冷を行った.成形した板の寸法は110 mm×110 mm,厚さ約2 mmであった. 2・2 実験方法 2・2・1 引張試験 引張試験は万能試験機 (AGS-1000A,島津製作所製)を用いて室温下で0.5 mm/minの試験速度で行った.なお,延伸した試験片は断面積が不均一となるため,最小断面となる部分の断面積とひずみを測定した. 2・2・2 結晶化度測定 試験片の結晶化度を測定するために示差走査熱量計(DSC-60,島津製作所製)を用いた示差走査熱量測定を行った.測定は試料量約4 mg,昇温速度10 ºC/min,温度範囲は室温~230 ºCにて行い,得られたDSC曲線から融解エンタルピーHmと結晶化エンタルピーHcを求め,下式に代入することにより結晶化度c [%]を算出した.ここで値135は結晶化度100%での融解エンタルピー[J/g] 3)であり,wcはβ-TCP含有率である. Χc=ΔHc+ΔHm2・2・3 配向係数測定 分子配向は偏光全反射フーリエ変換赤外線分光法を用135 (1) R+2試験における応力-時間曲線 − 204 −(1−𝑤𝑤𝑐𝑐)×100

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