3・2 オーステナイト系ステンレス鋼SUS304 ステンレス鋼SUS304においては,水素添加試料は延性低下し水素脆化する.PALS測定3)(図4)により空孔クラスターの形成を確認した.延伸による相変態等の影響を図4.SUS304のPALS結果:水素有無・10 µm表面除去 図3.水素添加純鉄の高低速延伸した試料の陽電子寿命の温度依存性 図5.SUS304のPALS結果:水素あり10%延伸・10 µm表面除去 考慮する上で障害となるため,水素添加後,水素添加層を除去すると,延性低下せず水素脆化がみられなく,PALS結果は転位のみの形成を示した.これから,バルク中の水素濃度は,水素脆化に必要な水素量には達していないことがわかる. 水素チャージ後10% 延伸した後に水素添加層を除去し,再び延伸し水素脆化の有無を調べた.10%延伸し,10 µm 表面除去後のPALS結果(図5)から,表面 10 µm に空孔クラスターが形成していたことがわかった.表面 10 µm 研磨後は~180 ps の寿命成分が検出されたが,この寿命値は転位による 160 ps 寿命よりもやや長い.10%延伸し 10 µm 表面除去後,再度延伸したところ延性低下がみられた.その結果から,水素誘起組織である α’相や ε 相は水素脆化には必要なく γ 相自体が水素脆化していることがわかった.従って,~180 ps 寿命成分を与える欠陥が水素支配欠陥である可能性がある.10% 延伸でも転位もしくは加工誘起マルテンサイト相を通じて水素がより低速材 高速材 空空孔孔ククララススタターー 空空孔孔ククララススタターー 転転位位 転転位位 ババルルクク 深い層に拡散することによって,バルク中にも空孔-水素複合体が形成され,水素脆化が誘起されると考えている. − 200 −
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