助成研究成果報告書Vol.34
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図7 EBSDによる熱処理後の皮膜断面IPFマップ 図9 引張試験により得られた応力-ひずみ線図 表1 SPS処理した各皮膜の引張強さ 図8 熱処理後の結晶粒径 4.結言 本研究では,純鉄およびSUS410L粉末を対象に,MM法によりナノ結晶化した粉末をCS法によりSS400平板基材表面に成膜し,冷間圧延することにより皮膜特性および 粒も残存している様子が確認できる.本分析結果に基づいて結晶粒径の分布を定量評価した結果を図8に示す.図より,755°Cでは平均結晶粒径が1 µm未満のナノ結晶を維持している.一方,805°Cでは平均結晶粒径が1 µmを上回っており,855°Cでは1 µm以下の結晶粒の割合が顕著に低下していることが確認できる. 以上の結果から,ナノ結晶を維持するためには800°C以下で熱処理(熱間圧延)を行う必要があることが明らかとなった. 3・5 放電プラズマ焼結試験結果 前述の熱処理試験結果に基づき,結晶粒の粗大化を抑制するため,MM_Fe20皮膜に対し800°C以下の温度でSPS(a) 熱処理温度 755°C (b) 熱処理温度 805°C (c) 熱処理温度 855°C 40 µm 40 µm 40 µm SPS未処理 70.9 MPa SPS700°C 711 MPa SPS740°C 835 MPa SPS786°C 790 MPa 処理を施した.引張試験により得られた各温度によるSPS処理皮膜の応力-ひずみ線図を図9に示す.図にはSPS未処理皮膜の結果も示している.図から,未処理の皮膜については,弾性変形後,約62 MPaで破断したことが確認できる.塑性変形はほぼ認められず,脆性的な破壊挙動を示している.また,ヤング率も低い傾向にあることが確認された.一方,SPS処理を施した場合,いずれの温度についても脆性的な破壊挙動を示しているが,未処理に比べ引張強さが著しく増加していることが確認できる.表1に各皮膜の引張強さをまとめる.各値は2回の引張試験結果の平均値を示している.740°Cにおいて最も引張強さが高くなり,約835 MPaとなった.これは未処理材の引張強さの約12倍であり,一般的な純鉄の引張強さの約4倍である. SPS未処理の場合,粉末粒子間の結合が不十分のため,結晶粒微細化効果が発揮されず,低強度および低ヤング率を示した.一方,SPS処理を施すことにより粒子間の結合が改善し,本来の結晶粒微細化に伴う高強度が発現されたものと考えられる.しかしながら,延性についてはいずれの処理温度についても著しく低い傾向にあった.今後,処理条件の最適化や調和組織化などにより延性の改善を試みていく. 密着強度の向上を試みた.本研究で得られた知見を以下にまとめる.  MM法により純鉄およびSUS410L粉末をナノ結晶化できることが確認された. − 196 −

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