助成研究成果報告書Vol.34
197/332

3・3 冷間圧延結果 MM_Fe20を成膜した試験片に対し冷間圧延を施した後の試験片外観写真を図6に示す.図のように,皮膜が基材からはく離し,大きく湾曲している様子が確認できる.図5 EBSDによる各皮膜断面のIPFマップ 図6 冷間圧延後のMM_Fe20試験片外観写真 3・4 熱処理試験結果 図4 各皮膜の断面SEM像 以上の結果から,以降の実験については純鉄粉末のみを対象として実施することとした.なお,SUS410L粉末の成膜については,今後MM処理条件や成膜条件の最適化などにより実現を目指していく. 他の皮膜についても同様にはく離が生じることが確認された.これは,成膜により皮膜/基材間にせん断の残留応力が作用していること,および圧延に伴い皮膜/基材界面に圧縮応力のみならずせん断応力も作用することに起因している.これらのせん断応力が密着強度を上回ったためはく離が生じたものと考えられる.このことから,CS皮膜に対して冷間圧延を適用することは困難であることが明らかとなった. 前節で示したように冷間圧延による皮膜特性や密着強度の改善が困難であることが確認された.そこで,CS皮膜に対する熱間圧延の適用可能性を検討するため,MM_Fe皮膜に対し電気炉による熱処理を施し,結晶粒径に及ぼす熱処理温度の影響を調査した.図7に,各温度で熱処理した後の皮膜断面のEBSDによるIPFマップを示す.熱処理温度の増加に伴い結晶粒が粗大化している様子が確認できる.しかしながら,特に図7 (c)に注目すると,全ての結晶粒が均一に粗大化するのではなく,微小な結晶 3・2 CS法による成膜試験結果 CS法により成膜された各粉末の断面SEM像を図4に示す.まず純鉄粉末に注目すると,未処理粉末との混合の有無によらず1 mm近い緻密な皮膜が成膜されており,大きな気孔や欠陥は認められなかった.ここで,成膜効率を測定した結果,MM_Feでは34.0%,MM_Fe20では42.5%となり,未処理粉末を混合することで成膜効率が向上した.一方,SUS410L粉末に注目すると,未処理粉末を10%混合したMM_SUS10では,わずかに粒子の付着が認められるものの皮膜の形成には至っていないことが確認された.また,未処理粉末を30 wt.%混合したMM_SUS30では,数十µm程度の皮膜が形成しているものの,厚膜の形成には至らなかった. 一般に,CS法では,衝突時に塑性変形し易い軟らかい粒子が付着し易い傾向にある.MM処理により結晶粒径を微細化すると高硬度となり,衝突時に塑性変形し難くなる.このため,純鉄粉末については未処理粉末との混合により成膜効率が改善した.また,SUS410L粉末については,混合割合が高い方が成膜しやすくなった.しかしながら,純鉄粉末に比べSUS410L粉末は高硬度であることから,本成膜条件下では皮膜の形成が困難であったものと考えられる. 粒が点在する組織となっている様子が確認できる.飴山らは,微細な結晶粒と粗大結晶粒が周期的に混在する調和組織材料を提唱し,強度と延性を両立させた材料開発を行っている2).このことから,混合粉末による皮膜についても,適切に組織を制御すれば調和組織材料と同様の効果が得られる可能性がある. EBSDによるMM_FeおよびMM_Fe20皮膜断面のIPFマップを図5に示す.MM_Fe皮膜については,図3に示した粒子とほぼ同様の微細な結晶粒によって皮膜が構成されていることがわかる.一方,MM_Fe20については,微細な結晶粒の組織内に未処理粉末に由来する粗大結晶(a) MM_Fe (b) MM_Fe20 (c) MM_SUS10 (d) MM_SUS30 皮膜 界面 基材 界面 基材 皮膜 界面 基材 界面 基材 500 µm 300 µm 500 µm 300 µm (a) MM_Fe (b) MM_Fe20 40 µm 40 µm 10 mm − 195 −

元のページ  ../index.html#197

このブックを見る