助成研究成果報告書Vol.34
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図13SOF分布の相互作用距離依存性16).Dave(= 69.2μm)は平均結晶粒径を示す.各図の左にカラーバーを調整していないSOF分布を示し,右にカラーバーを調節し,ある数値以下のSOFを青色とし,すべり変形が起こりやすい領域をわかりやすく表示したSOF分布を示した.=2D=D=2D=D=2D=2D==2D図12結晶塑性解析により得られた平均ひずみ0.6%時の塑性せん断ひずみ分布16)図11に,解析に使用したCP-Tiの幾何モデルと負荷条件を示す.解析に用いた各すべり系のCRSSは,結晶塑性解析とSOFで同様とし,その比のは,Paganらの実験結果を参考にして,Basal:Pri:Pyr1:Pyr1=1.1:1.0:1.2:1.8とした19).SOFの領域間の相互作用の強さを決定するパラメータALD,ATDは1.0とし,SOFの空間分布は力学的相互作用の影響距離reLD,reTDをいくつかに変化させて作成した.図11SOFの妥当性の検証に用いたCP-Tiモデル16)6.結言謝辞変形の起こりやすさを示す指標のため,SOFの分布とひずみ分布が一致すれば,SOFの妥当性を証明できる.■・■解析結果図12に結晶塑性解析により得られた降伏直前の塑性せん断ひずみの分布を示し,図13に,結晶塑性解析と同様の幾何モデルを用いて取得したSOF分布を示す.SOF分布は,相互作用距離の変化と共に変化する.負荷方向の相互作用距離reLDより負荷方向に垂直な方向の相互作用距離reTDの方が長い場合には,粒界近傍のSOFが高くなる(図13a).一方,負荷方向の相互作用距離reLDが長くなると(図13b,c,d),粒界近傍のSOFの上昇は解消され,SOFの分布は,ひずみ分布とよい一致を示す.即ち,図12の矢印Aで示したひずみ分布と図13b,cに矢印で示したSOF分布の対応や,ひずみ分布図12の矢印Bに示した領域と図13dの矢印で示したひずみの集中領域の対応等,影響距離が適切であれば,SOFはすべり変形の起こりやすい場所を精度よく予測できることがわかる.また,ひずみ分布とSOF分布の一致する領域が,領域間の相互作用距離によって変化するため,領域ごとに力学的相互作用の影響距離は異なっていることもわかる.以上のことは,SOFによって,簡易的にすべり変形の起こりやすい領域を予測可能であり,SOFとイメージベース結晶塑性解析の併用によって領域間の相互作用距離を定量的に評価できることを示している.これまで単相材料にしか対応していなかったが,それを多相合金に対応する様に拡張した.この効率的な解析環境を,工業用純チタン(CP-Ti)や二相チタン合金のTi-6Al-4V(Ti-64)に適用し,その妥当性と有用性を確かめた.更EBSD結晶方位マップを,結晶塑性解析用の微視組織モデルへ変換するための「データ変換インターフェース」は,には,EBSD結晶方位マップより,ひずみ分布を簡易的に予測できる指標Slip operation factor(SOF)を構築した.SOFをCP-Tiに適用したところ,SOFは結晶塑性解析により得られた変形初期のひずみ分布をよく模擬し,SOFと結晶塑性解析を併用することで,領域間の力学的相互作用距離を定量的に明らかにできる可能性を示した.これまでに示した様に,当該研究では,微視組織に依存した結晶性金属材料の変形機構を,定量的かつ効率的に調査できる環境の構築に成功し,CP-TiやTi-64の変形機構の一端が明らかとなった.今後は,他研究者と更に綿密に連携しながら,本研究で開発した環境を金属材料の変形機構の理解に生かしたいと考えている.本研究で使用した結晶塑性解析コードは,大橋鉄也名誉教授(北見工業大学)と眞山剛准教授(熊本大学)より頂いたものを使用した.また,第3章のCP-Tiの結晶方位マップおよびひずみ分布は田中將己教授(九州大学),第4章と第5章のCP-TiおよびTi-6Al-4V合金の結晶方位マップは光原昌寿准教授(九州大学)よりご提供頂いた.記して謝意を表す.LDreLDreaveTDreaveLDreTDreLDreaveaveaveTDreaveTDreaveave(a)(c)(b)(d)D3− 186 −(B)(A)

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