助成研究成果報告書Vol.34
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図6は対象とするTi-64の微視組織を示したものであり,α相の弾性定数は純チタンのものを用い,β相はTi-V合金のものを用いた.Ti-V合金の弾性定数はV濃度の関数であり,V濃度に比例して弾性定数が高くなる.本解析では15~50wt.%Vの範囲でβ相の弾性定数を変化させて解析を行った.α相のCRSS比は,Bridierらの用いた値を参考にして,Basal:Pri:Pyr1:Pyr1 = 1.15:1.00:1.30:1.59とした14).β相の活動すべり系は{110}111おとした.β相のすべり系のCRSSは,(i)αよび{121}111相の活動すべり系と同様の場合および,(ii)α相の活動すべり系よりも高い場合の2種類で実施した.本報告書では,α相からすべり系の活動が開始し,それがβ相に伝播することを想定した(ii)の条件について解析した結果を記す.図8Ti-6Al-4Vのα-βコロニーにおける公称ひずみ1.0%時の(a)GN転位分布と(b)負荷方向垂直応力および(c)塑性せん断ひずみのラインプロファイル13)βαβααβ図6Ti-6Al-4Vのα+βコロニー13)図9GN転位密度ラインプロファイルのV濃度依存性13)図7Ti-6Al-4VのCPFEM用幾何モデル13)4.二相チタン合金の結晶塑性解析■■■■・■供試材の幾何モデルへの変換と解析条件次に多相合金に適用する様に拡張したデータ変換インターフェースの妥当性の確認のため,hcp構造を有するα相とbcc構造を有するβ相からなる二相チタン合金のTi-6Al-4V(Ti-64)を用いて,イメージベース結晶塑性解析を行い,異相間の相互作用とひずみ分配/応力分配の関係を調査できるかを確かめた.Ti-64中のα+βコロニーの1つから取得したものである.図6の微視組織の一部を切り出して,データ変換インターフェースにより結晶塑性解析用の幾何モデルに変換したものを図7に示す.本幾何モデルは,Ti-64中の1つのα+βコロニーから作製しているため,そのα相とβ相の結晶方位は,それぞれの相でほぼ均一であり,α相とβ相の結晶方位関係はBurgersの結晶方位関係をほぼ満足する.本幾何モデルに1軸引張の強制変位を与えて変形解析を実施した.■・ 解析結果図8に,公称ひずみ1.0%における幾何学的に必要な転位(Geometrically necessary dislocations:GN転位)密度の空間分布,図のAY-BY断面における応力およびひずみのラインプロファイルを示す.GN転位密度の分布は,α-β界面近傍のα相側で高くなる(図8a).これと同様の現象は,実験においても観察されており15),このことはイメージベース結晶塑性解析によって,α+β型チタン合金においても妥当な結果が得られていることを示す.次に,GN転位が界面近傍の堆積した理由を考える.応力のラインプロファイル(図8b)より,α-β界面のα相側に応力が集中しやすいことがわかる.これはα相の方がβ相よりも弾性定数が低いために弾性的に変形し難いため,変形初期では,β相の代わりにα相が荷重を支えるためである.その結果,変形の初期において,界面近傍のα相側では,応力集中のためにすべり系が活動しやすく,ひずみが集中してひずみの空間勾配が形成され(図8c),その空間勾配を満足するためにGN転位が堆積した.上記では,α相とβ相の弾性定数の違いによって,結果的に,変形初期では界面近傍にGN転位が堆積しやすいことを示した.次に,GN転位密度とβ相のV濃度の関係をAY-BY断面のラインプロファイルで比較したものを図9に示す.β相のV濃度が低い程,β相が弾性的に柔らかく,β相の代わりに荷重を支えるα相の界面にひずみが集中してひずみが急勾配となるため,界面近傍のα相側でGN転位の密度が高くなった.以上の結果は,データ変換インターフェースを用いて作製したα+β型チタン合金の幾何モデルを用いた結晶塑性− 184 −

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