助成研究成果報告書Vol.34
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図2図3CP-TiのEBSD逆極点図9)図4CP-Tiの結晶塑性解析用幾何モデルと負荷条件9)図5み5.0%時のCP-Tiの負荷方向の垂直ひずみ分布9)3.イメージベース結晶塑性解析の妥当性の検証■■いる■■.結晶方位マップには奥行き方向のデータが存在しないので,幾何モデルの奥行き方向のサイズと要素分割数は任意に決定する.上記のデータ変換インターフェースに相の違いの情報を加えて,多相に対応するようにする.具体的には,結晶方位マップの各ピクセルの情報を,幾何モデルの各要素に受け渡す際に,結晶方位の情報に加えて,相の情報も併せて受け渡す.こうすれば,結晶塑性解析を実施する際,相の違いを考慮して,変形解析を実施できる. ・ 結晶塑性解析の手法結晶塑性有限要素法(Crystal plasticity finite element method: CPFEM)を用いて,イメージベース結晶塑性解析を実施する.本研究では,大きく分けて2つのCPFEMのコードを用いた.一つは,転位密度依存型の構成則に基づいた結晶塑性解析コードclp7)であり,もう一つは,ひずみ依存型構成則を用いた結晶塑性コード8)である.転位密度依存型のモデルでは,各すべり系の臨界分解せん断応力(Critical resolved shear stress: CRSS)は,転位密度の単調増加関数とした.ひずみ依存型の構成則では,各すべり系のCRSSはVoce則に従うものとし,ひずみに対して単調増加するものとした.■・■幾何モデルの作製と実験および解析条件CP-Tiを用いて,実験により取得した金属材料のひずみ分布を,イメージベース結晶塑性解析により再現できるかを確かめる.本節では,実験および解析の概要を説明する.図2aに示すCP-Tiの試験片より図3に示すEBSD逆極点図を取得した.次に,データ変換インターフェースを用いて,図3に示す結晶方位マップを図4に示す結晶塑性解析用の幾何モデルに変換した.実験では,図2aに示すCP-Tiの試験片を長手方向に一軸引張し,試験片表面に付与した微細格子マーカー(図2b)の変形から,ひずみ分布を計算した.本実験により得られたひずみ分布を再現するために,図4に示す幾何モデルの一軸引張の結晶塑性解析を行った.CP-Tiはhcp構造を有するため,本解析では,弾性定数は純チタンのもの10)を用い,すべり系は底面(Basal),柱面(Pri),1次錐面(Pyr),1次錐面(Pyr1),2次錐面(Pyr2)とし,解析により得られたひずみ分布が実験結果と合うように,これらのすべり系の初期CRSSを変化させながら解析を実施した.■・ 実験と解析により得られたひずみ分布の比較図5に,実験により得られたひずみの分布と,これと一致するように,すべり系のCRSSの比を合わせて実施した結晶塑性解析の結果を示す.図5の領域Aの赤矢印で示した様に,実験結果と数値解析結果で一致していない領域があるものの,領域B,C,Dでは,実験と結晶塑性解析によって得られたひずみの分布は良い一致を示しており,イメージベース結晶塑性解析により,実際の結晶粒レベルでのひずみ分布をほぼ再現できることが確認できた.また,この時のすべり系のCRSSの比は,Basal : Pri : Pyr1 : Pyr1 : Pyr2 = 1.0 : 1.0 : 1.3 : 2.0↑ : 2.0↑(2.0↑は2.0以上の意)であった.本CRSS比は,ThomasらがCP-Tiで求めたBasal : Pri : Pyr1 : Pyr1 : Pyr2 = 1.0 : 1.0 : 1.3 : 1.6 : 1.611)や,Warwickらが求めたBasal : Pri : Pyr1 : Pyr1 = 1.1 : 1.0 : 1.4 : 3.012)と比較的近い比である.以上より,データ変換インターフェースを用いて得た幾何モデルを用いて実施した結晶塑性解析は,実際のCP-Tiの変形をよく模擬しており,データ変換インターフェースの妥当性が示された. (a)CP-Ti試験片と(b)その表面の微細格子マーカー9)(a)実験と(b)結晶塑性解析により得られた公称ひず0.0 0.3 εXX0.0 0.2 εXX− 183 −

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