図1 EBSDピクセルからFEM用の要素への変換方法の模式図6).領域の色の違いは結晶粒の違いを意味する.図1は,EBSDにより取得した結晶方位マップ(以下結晶方位マップと呼ぶ)から,有限要素法(Finite element method:FEM)用の要素(以下要素と呼ぶ)への変換方法を模式的に表したものである.データ変換インターフェー1.研究の目的と背景b)上記環境を用いて実施したイメージベース結晶塑性c)上記環境の金属材料の変形機構の調査に対する有用キーワード:結晶塑性解析,イメージベース,変形機構,微視組織,チタン,■■■■,数値シミュレーション材料の力学特性を定量的に評価するために,種々の数値解析手法が用いられ,それらは金属材料の微視組織に依存した変形機構の調査でも成果を上げている1)-3).結晶塑性解析は,その代表的な手法の一つであり,転位論に立脚した連続体モデルを用いて,結晶粒レベルで材料の変形を予測するのに適した手法である.近年では,材料微視組織のひずみの分布を実験によって取得することが可能なため,実際のひずみ分布を結晶塑性解析によって再現し,変形機構をより定量的に理解することが行われている4)5).実験により得られたひずみ分布を結晶塑性解析によって再現するためには,微視組織を再現した幾何モデルを用いて解析を実施する必要がある.その幾何モデルの取得のためには,材料の微視組織を数値的に模擬したり,Electron Back Scatter Diffraction(EBSD)等を用いて実験的に取得した結晶方位マップを基に試行錯誤して作製したりする必要がある.しかしながら,その作業は煩雑である.河野らは,その問題を解決するため,EBSD結晶方位マップから結晶塑性解析用の幾何モデルを自動的に作製するデータ変換インターフェースを開発し,それを工業用の純チタン(CP-Ti)に適用して,材料微視組織のイメージベース結晶塑性解析が行えることを示した6).しかしながら,以下の問題点が残されていた.a)上記データ変換インターフェースが多相合金に対応していないこと.解析と実験の結果の比較が行われていないこと.性を確かめられていないこと.本報告書では,上記の問題に取組んだ結果を示す.本報告書の構成は次の通りである.まず,データ変換インターフェースの概要と多相合金への拡張方法,結晶塑性解析の方法の概要について示す.次に,それをCP-Tiや二相チタン合金に適用して,変形機構を調査し,データ変換インターフェースの妥当性と有用性を示す.最後に,簡易的に材料の変形のしやすさを評価するSlip operation factor(SOF)と称する手法を提案し,それとデータ変換インターフェースを合わせて用いることで,効率的に結晶性金属材料の変形機構を調査する方法を提案する.( ■■■年度奨励研究助成(若手研究者)■■■ ■■■■■■■■ )北見工業大学機械電気系准教授河野義樹2.イメージベース結晶塑性解析の方法本章では,イメージベース結晶塑性解析の方法について説明する.まず,EBSD結晶方位マップより,結晶塑性解析用の幾何モデルを作製する方法について説明し,その次に,結晶塑性解析の方法について,その概要を述べる. ・■データ変換インターフェースとその拡張■■多相合金に対応する様にデータ変換インターフェースを拡張した.本節では,まず,データ変換インターフェースの概要について説明し,次に多相合金への拡張方法を記す.スを用いて,結晶方位マップから幾何モデルを作製する際,EBSDピクセルの持つ結晶方位データを幾何モデルの各要素に受け渡す.通常,結晶方位マップのピクセルと幾何モデルの要素では,数と形状,次元が異なる.そのため,このデータの受け渡しには工夫が必要であり,受け渡し方法をEBSDピクセルと要素のサイズの大小関係で変化させる.具体的には,EBSDピクセルよりも要素が小さい場合(図1a)には,各要素には,最も近いEBSDピクセルの持つデータを受け渡し,EBSDピクセルよりも要素が大きい場合(図1b)には,各要素の中にあるEBSDピクセルの内,最も広い面積を占める結晶粒の結晶方位を各セルに受け渡す.この様にすると,本データ変換によって得られた幾何モデルを用いて実施した結晶塑性解析では,要素分割数が変化しても,微視組織の情報が大きく失われていなければ,定性的には同じ結果が得られることが示されてEBSDピクセルFEM用要素(a)(b)− 182 −微視組織イメージを用いた効率的な変形解析環境の構築とそのチタン・チタン合金への適用
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