助成研究成果報告書Vol.34
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キーワード:微小押し込み試験,耐熱合金,簡易力学特性評価 図1 高温微小押し込み試験装置 試験方法であり,規定の圧子を試料に押し付ける際の押し込み荷重-深さ関係を計測する。この押し込み荷重-深さ関係を基に,等価弾性剛性および硬さを評価できる1,2)。また,硬さ試験と同様に荷重を微小とすることで材料微視構造スケールの局所力学特性を評価でき3-5),引張/圧縮試験が難しい微小スケールの力学特性を評価する方法として,科学的にも工業的にも有用な試験方法である。例えば,Watanabe et al.6)は複相積層造形体の不均一力学特性分布を評価し,評価結果を直接的に用いて数値シミュレーションを行った。また近年,合金元素が分布した拡散対試料へ適用することで,効率的に材料データベースを取得する研究が取り組まれている7,8)。 この簡易力学特性評価手法である計装化押し込み試験を用いて,引張/圧縮試験相当の応力-ひずみ関係を評価しようとする取り組みが長年取り組まれている9-16)。一般的な三角錐や四角錘形状の圧子を用いた単一の試験だけでは,唯一解として応力-ひずみ関係を得ることができないため9,10),先端角の異なる複数の圧子11,12)や断面積-深さ関係が非線形となる球圧子13,14)を用いた手法が開発された。また,Goto et al.15,16)は圧痕まわりの盛り上がりが加工硬化係数と相関があることを利用して,三角錐圧子を用いた単一の押し込み試験だけで応力-ひずみ関係を評価 1.研究の目的と背景 計装化押し込み試験は硬さ試験を拡張した力学特性の物質・材料研究機構 構造材料研究拠点 (2018年度 奨励研究助成(若手研究者) AF-2018035-C2) 主幹研究員 渡邊 育夢 2.実験装置・方法 高温域における押し込み試験では,圧子の加熱方法,試験片の表面酸化が特に問題となる。本研究では,図1の微小押し込み試験装置を真空容器内に設置した装置を用いて,容器内をArガスで置換して評価を行う。押し込み試験を置換雰囲気下で実験することで,ヒーターによる圧子する手法を開発した。 耐熱合金を対象とした力学特性評価は応力-ひずみ関係の温度依存性を含むため,材料データベースの構築には多数の材料試験を必要とする。引張/圧縮試験を用いる場合,試験片加工や試験実施などに多大な時間・コスト・労力を要する。そこで,本研究では高温評価が可能な微小押し込み試験機を用いて,耐熱合金の高温力学特性を効率的に評価できる手法の開発に取り組んだ16)。 の間接的な加熱およびダイヤモンド圧子の使用が可能となる。また,ヒーターは試験片を加熱するように設置されているため,押し込み試験前に圧子を試験片に十分に近づけ,圧子温度が評価試料と同等の温度になるまで保持する必要がある。 本装置では,室温から800℃まで評価できる。高温下の評価ではクリープが顕著となるため,押し込み試験負荷・除荷速度および最高荷重での保持時間を目的に合わせて定義しなければならない。 − 179 −(a) 押し込み試験装置 (b) 外観 高温微小押し込み試験による耐熱合金の 高温力学特性の簡易評価手法の開発

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