助成研究成果報告書Vol.34
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0 図15 成形品の応力-ひずみ線図(拡管率κ=0.23) 4.まとめ 本研究では,公益財団法人天田財団のご援助によって薄肉管の製造方法としての拡管型抽伸加工法を提案でき, /aPMnσ sserts lanimoN-, (1990),2,コロナ社. (1) FEM解析によって,従来の縮管型抽伸加工と比較した結果,拡管抽伸は縮管抽伸よりも低荷重で,高い減肉率が得られることがわかった. (2) 拡管抽伸では,円周方向に大きく伸ばされることによって肉厚が減少する.また,縮管抽伸と異なり,軸方向の変形量は小さい. 謝 辞 参考文献 のと考えられる.一方,α=12°のプラグにて加工した管の伸びは,素管の伸びよりも高くなった.また,α=12および24°の場合に,素管よりも成形品の降伏点が低くなる傾向を示した.この原因として,バウシンガー効果が考えらえる.引張試験において,管は軸方向に伸ばされ,円周方向に縮む.一方,拡管抽伸においては,軸方向の変形は小さく,円周方向に伸ばされる.両者の円周方向の変形は逆方向であるため,低い拡管率にて拡管抽伸した管は,降伏点の低下や,伸びの上昇が生じた可能性がある.これは,縮管抽伸では見られない現象であり,拡管抽伸にて加工した管が,一般的な縮管抽伸にて加工した管と異なる強度特性を有する可能性を示唆している.これに関しては,今後,さらなる検討が必要である. 図14 軸方向ひずみεz分布に及ぼすプラグ半角αの影響 (拡管率κ=0.23) 本研究では,薄肉管を効率的に製造する手法として,拡管型抽伸加工を提案した.基本的な加工特性を明らかにするとともに,成形限界や減肉特性を向上させるにあたって適切な工具形状を明らかにした.さらに成形品の寸法精度や強度を評価した.得られた主な知見を以下に示す. Plug(a) α=12°Plug(c) α=36°80070060050040030020010000.05Plug(b) α=24°Axial strainεz0.15-0.15Initialα=12°α=24°α=36°0.10.150.20.25Nominal strain εn(3) プラグ半角αによって,成形限界は大きく変化する.供試材料としてSTKM13Cを用いた場合,α = 36°のプラグを用いると,拡管率κ=0.46まで加工することができ,そのときの減肉率γは0.33であった.これは,縮管抽伸における1パスあたりの減肉率γよりも高い. (4) 抽伸後の管内径とプラグ径の隙間長さを表すオーバーシュートδは,プラグ半角αが小さく,プラグ径depが大きい条件になるほど小さくなる. (5) 拡管抽伸後の材料は,加工硬化によって引張強度が上昇した.一方,降伏点の低下や,伸びの上昇など,1) Kajikawa, S., Kawaguchi, H., Kuboki, T., Akasaka, I., Terashita, Y. & Akiyama, M.: Proc. 9th Int. Conf. Tube Hydroforming (2019), 67-74. 2) 川口光・梶川翔平・久保木孝・赤坂 勇・寺下 雄三・3) Kajikawa, S., Kawaguchi, H., Kuboki, T., Akasaka, I., Terashita, Y. & Akiyama, M.: Metals, 10-12 (2020), 1642. 4) Kajikawa, S., Kawaguchi, H., Kuboki, T., Akasaka, I., Terashita, Y. & Akiyama, M.: Proc. COMPLAS XV (2019), 48-58. 5) 日本塑性加工学会:引抜き加工-基礎から先端技術まで縮管抽伸にて加工された管では見られない特性が見られた. その有効性を検証することができました.また,さらなる研究を進めるにあたって有用な知見を得ることができました.ここに,公益財団法人天田財団に深く感謝の意を表します. 秋山雅義:70回塑加連講論 (2019), 235-236. − 178 −

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