助成研究成果報告書Vol.34
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3.実験結果および考察 ■■・■■溶接可否■■図3に,プロセスウィンドウを示す.○印は継手が得られたことを示し,▲印は継手が過剰に溶融したことを示し,×印は継手が得られなかったことを示している. ■ ・■■溶接条件 ■溶接条件を表2に示す.レーザ出力は2kW,ローラ加圧力を1kNで一定として実験を行った.SPCCとA5052Pとの重ね代は5mmとした.また,シールドガスにArを用い,流量を20l/minとした.本研究の実験条件として,溶接速度を5~35mm/sの範囲で変化させて実験を行った. ■表面前処理として,両板材の接合面を400番のエメリー紙で研磨し,酸化膜除去を行った後,エタノールで脱脂処理をした.レーザを照射する鋼表面には,レーザの吸収率を高めるためにグラファイトスプレーを塗布した.ワイヤはA5052Pの端部から2mmの位置に設置した. ■ ・ ■レーザロール溶接実験 ■本実験では,定格出力2kW,波長10.6µm,連続発振型のCO₂レーザ発振器を用いた.図1に示したように,レーザ装置に平面反射ミラーとローラ加圧装置を組み合わせた装置を用いて実験を行った.発振されたレーザ光を,焦点距離200mmのZnSe製集光レンズによって集光し,平面反射ミラーにて反射させた後,角度をつけて板材へと照射した.供試材の設置方法については,図2に示すようにSPCCが上,A5052Pが下になるようにし,その接合面にワイヤを設置した. ■まず,上段の結果に着目すると,溶接速度5mm/sでは入熱量が過剰であったためか継手に貫通孔が発生した.溶接速度25および30mm/sの場合,入熱が不足したためか継手は得られなかった.したがって,レーザロール溶接継手は10~20 mm/sの溶接速度で作製可能であった. ■この場合,鋼板とワイヤが線接触しているため,鋼板からワイヤへの熱伝導が抑制されている可能性がある.そこで,鋼板とワイヤとの接触面積を拡大するために,0.65mmの厚さに圧潰したワイヤも比較のために使用した. ■図3の下段に,ワイヤを圧潰して用いた場合のプロセスウィンドウを示す.溶接速度5mm/sでは継手に貫通孔が生じ,この結果はワイヤを圧潰せず用いた場合と同様であった.ワイヤを圧潰して用いた場合,レーザロール溶接継手は10~30mm/sの溶接速度で作製可能であった.よって, ワイヤを圧潰して用いた場合の方が,溶接可能な速度が広範であった.以降は,ワイヤを圧潰せず用いた場合と圧潰して用いた場合との継手性能を比較する. 2.実験方法 ■ ・■■供試材■■供試材として,板厚0.8mmの低炭素鋼板SPCCおよび板厚1mmのアルミニウム合金板A5052Pを使用した.供試材の寸法はいずれも40×150mmとした.また,インサート材としてφ1.2の異材溶接用フラックスコアードワイヤAlu S4Leを長さ150mmに切断して使用した.SPCCおよびA5052Pの化学組成を表1に示す. − 164 −

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