助成研究成果報告書Vol.34
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キーワード:レーザロール溶接,インサート材,ワイヤ ウム合金などの軽金属と鉄鋼とを適材適所に配置した,材料ハイブリッド構造が適用されるようになってきている.その構造の実現には,両者を高い信頼性と生産性の下で接合する必要が生じるが,接合法のデファクトスタンダードは未だ定まっていない.その一因として,両者の物性値の差が大きく,かつ接合部に脆性な金属間化合物を容易に形成することから,通常の方法では接合が困難であることが挙げられる. ■一方,沓名ら1)が開発したレーザロール溶接法では,図1に示すようなレーザとローラを組み合わせた装置により重ね継手の線溶接を行い,難接合継手であるアルミニウム合金と鋼とを高強度で接合することが可能である.過去の研究2)において,接合面にアルミろう付用フラックスを塗布すると,フラックスを塗布しない場合よりも高速での溶接が可能となり,継手強度も向上することが明らかになっている.しかし,当該フラックスは粉末であり,それを接合面に塗布する際の作業性および塗布量の制御が困難であることが課題となっており,これは接合の自動化の際にも支障となる.よって,レーザロール溶接においてフラックスを接合面に効率良く供給する技術が必要である. ■一般的なアルミニウム合金と鋼とのレーザ溶接においては,フラックスを用いない,所謂フラックスレスでの接合が検討されており,Longら3)は脆性な金属間化合物の1.緒言 ■近年,自動車等の輸送機器の軽量化のために,アルミニ生成を抑制するために,Ni,SiおよびZnの金属粉末の混合物を接合面に設置してレーザ重ね溶接を実施し,継手強度が向上したことを報告している.また,竹本ら4)はレーザ溶接にZn系の箔をインサート材として適用し,フラックスレスでアルミニウム合金と亜鉛めっき鋼をレーザ重ね溶接し,比較的高い強度が得られたことを報告している.これらは,フラックスを用いてはいないが,金属をインサート材として用いており,その設置のための作業性および使用量の制御に関する課題は依然として残る. ■本研究では上記の課題を解決するため,フラックス粉末の代替として,鉄鋼―アルミニウム合金異材溶接用フラックスコアードワイヤが利用できないかと考えた.このワイヤは,アルミニウム合金と鉄鋼との異材ブレーズ溶接用に市販されているもので,コアがフラックス,皮材がアルミニウム合金で構成されている.そこで,当該ワイヤのコアのフラックスに着目し,ワイヤをインサート材として接合面に設置し,置きろう付のろう材のように使用すれば,前述の作業性と塗布量の問題をクリアできるのではないかと考えた. ■ここで,通常のレーザロール溶接ではデフォーカスしたレーザ光を鋼表面に照射し,鋼からの熱伝導によりアルミを加熱するため,上述のようにワイヤを接合面に設置すると,鋼とワイヤ,およびアルミとワイヤが線接触となってしまうため,熱伝導の面では不利となる.しかし,レーザロール溶接ではローラにより接合部を1kN程度加圧するため,鋼からワイヤへの熱伝導が促進され,加熱されて溶融もしくは軟化したワイヤを媒介としてアルミへの熱伝導が起こり,継手を作製できるのではないかと考えられる.また,ろう付では接合部のすき間を狭小にすることで,ろう材の濡れが促進されることが知られており,その点でもローラによる加圧は有利であると考えられるが,ワイヤがレーザロール溶接性におよぼす影響の詳細については明らかでない.また,ワイヤをインサート材として使用する溶接法については,一部抵抗溶接において例5)が見られるのみであり,不明な点が多い. ■そこで本研究では,ワイヤをインサート材として用いるアルミニウム合金と鋼とのレーザロール溶接継手について,溶接部組織や継手強度等の継手性能を調査することで,溶接条件と継手性能との関係を実験的に明らかにすることを目的とする. 三重大学■大学院工学研究科 ( ■■■年度■一般研究開発助成■■■■ ■■■ ■■■■ )■助教■尾崎■仁志 − 163 − ワイヤをインサート材として用いるレーザロール溶接に関する 基礎的研究

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