助成研究成果報告書Vol.34
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 図9 陽極酸化+封孔処理材の引張せん断試験 (a) 引張せん断試験における変位と破断荷重 重荷断破 重荷断破NkNkStageStage(b) 引張せん断試験後の破断面と継手の曲げ変形 図10 A5052 の表面処理による表面形状 図8 CBシートの接合性能験結果を示す.試験荷重の増加とともに変位と接合部材の担う荷重が増加した.これらの変位と荷重の変化は陽極酸化のみの図 8(a)と同様であった.陽極酸化のみと封孔処理も行った場合を比較すると,変位および破断荷重は,それぞれ32.8%と12.3%向上した.図10(a)に陽極酸化のみと図10(b)に陽極酸化と封孔処理を行った材料の走査電子顕微鏡像を示す.図10(a)に示すように陽極酸化処理のみの表面は,比較的滑らかな表層部が形成されており,直径が数百nmから1 m規模にわたる大小の凹凸構造が認められた.さらにそれらの表面は,数十nm程度の微細孔が多数形成された微細構造を有していた.一方,図10(b)は,図10(a)の表面形状を基盤とし,数十nm程度の微細突起状の凹凸形状が密に形成されていた.以上の観察から,陽極酸化や封孔処理の表面処理によって,表面に微細な起伏が形成されたことによる接合面積の増加とアンカ効果によって,接合力が向上したと考えられる. ポリアミド系樹脂PA66とアルミニウム合金A5052との接合用として,カーボンブラック含有の熱可塑性エラストマーを添加したインサートシートを試作し,それによる異種材料接合の可能性と性能について検討した.試作したインサートシートは,その上下の界面を含む内部領域における光吸収の調節と安定した接合加工が可能であった.0.1 %以下のカーボンブラック含有量のとき,接合部材の接合力の向上効果が確認できた.接合後の引張せん断試験から,継手の破壊はインサートシートの周辺部を起点に生じたことがわかった.試作したインサートシートの接合能力は,A5052の0.2 %耐力相当以上あることが確認できた.インサートシートを用いて接合するためには,A5052の陽極酸化処理が必要であることがわかった.変形方向変形方向本研究は,公益財団法人天田財団の2018度一般研究開発助成(AF-2018210-B2)を受けて実施されたものであり,厚く謝意を表します.また,本研究を遂行するにあたり,表面処理,表面分析,インサートシートの試作等で多大なご支援を頂いた広島工業大学の日野実教授,㈱サーテック永田の永田教人常務,富山県立大学の永田員也教授に厚く御礼申し上げます.1)佐藤千秋:表面技術, 6677,12 (2016), 644.2)中村秀生・寺田真樹:溶接学会誌, 7722,3 (2003), 189.3)長谷川達也・前田知宏・中原修一・高井雄一郎・中村隆:日本機械学会論文集(C編),6677, 661 (2001-9), 2997.4)片山聖二・川人洋介・丹羽悠介・丹下章男・久保田修司:溶接学会論文集,2255, 2 (2007), 316.5)J. Holtkamp, A. Roesner, A. Gillner, Int J Adv ManufTechnol, 4477 (2010) 923-930.6)水戸岡豊・永田員也・日野 実:特願 2006-177613.7)水戸岡豊・日野 実・永田員也:レーザ加工学会誌,14(2007),250–254.8)日野 実・水戸岡豊・村上浩二・浦上和人・高田潤・金谷輝人:軽金属,5599, 5 (2009), 236.9)M. Hino, R. Kuwano, N. Nagata, K. Nagata, T.Kanadani : Materials Science Forum, ISSN: 1662-9752,941, 1815-1820.状表面形状8.07.06.05.04.03.02.01.000.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 変位 mm CBシートの残存A5052 A50524.結 言1.4 1.6 1.8 2.0 2 mm8.07.06.05.04.03.02.01.000.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 変位 mm 100 nm (a)陽極酸化処理の表面形謝 辞 参考文献1.4 1.6 1.8 2.0 100 nm (b)陽極酸化+封孔処理の− 162 −

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