図6に引張りせん断試験の破壊の状態と位置を示す.図6(a)に破断前の接合界面の位置を示す.図6(b)と(c)に凝集破壊と被接合材の破壊の様子をそれぞれ示す.図6(b)のような凝集破壊はカーボンブラック濃度0.07 %以上で多く確認された.両方の被接合体の接合部にCBシートが残存した状態であるが,接合力が低かったのはCBシートやPA66の熱損傷による材料的な劣化が原因と考えられる.一方,図6(c)のようなPA66母材の破壊はカーボンブラック濃度0.07 %以下で認められた.この接合状態は,界面が適正な接合温度範囲であったことが推察される.継手の破壊は, CBシートの周辺部から進行したことが観察された. CBシートを用いたPA66 とA5052のレーザ接合性を調べた.図 7 に示すように 6 種類のシート全てで接合は困難であった.原因として,A5052の放熱性が高いこととCB シートと A5052 との材料的な結合の難しさが考えられる.しかし,PA66 とPA66 あるいは A5052 をヒータで加熱する接合の場合,PA66 に熱変形や熱損傷が発生したため,接合は困難であった.このことから,レーザ加熱では内部発熱の効果と CB シートの効果を利用できるため,異種材料接合における熱源の優位性が期待できる. CBシート自体の接合性能を評価する上で接合熱量不足や熱源形状の影響を除く目的で,ヒータで加熱するA5052同士の接合を行った.まずA5052の表面未処理の材料同士では,CBシートとの接合が困難であった.次にA5052を希硫酸で陽極酸化処理した材料では,異種接合が可能で 重荷断破Nk厚みmm 凝集破壊PA66の破壊 界面破断 CII (b) 凝集破壊I II II 図5 CBシートによるレーザ吸収の効果 (a) 引張せん断試験片と接合界面の位置 図6 接合試験片の破断の状態 効に機能した.破断荷重が高かったPA66板厚3 mmについて,レーザ出力を800W, 1200W, 2000Wの条件で照射しており,出力が高いほど継手の破壊状態はPA66母材で破断することが多かった.レーザ出力2000 W,ビーム移動速度80 mm/s(Ed : 700 J/cm2),カーボンブラック含有量0.07%のとき,破断荷重は1, 648Nの最大値を示した.この傾向は他のレーザ出力でも同様であった.レーザ出力800W(Ed : 240 J/cm2)でカーボンブラック濃度0.005%のCBシートでは接合部の熱量不足のため接合力が低い界面破壊であった.カーボンブラック濃度が0.5%以上の領域では,凝集破壊が多く,破断荷重は1, 000 N程度であった.カーボンブラック濃度が高いと,CBシートの蒸発や接合界面の熱損傷などで材料の劣化と実質的な接合面積が低下したことが原因と考えられる.このようにエネルギ密度が240 J/cm2~933 J/cm2の範囲での引張りせん断試験の結果から,エネルギ密度が700 J/cm2(レーザ出力2000 W,ビーム移動速度80 mm/s)のときに最大値を示す傾向が得られた.さらにエネルギ密度が高い933 J/cm2(レーザ出力2000 W,ビーム移動速度60 mm/s)のとき,接合界面が過剰な入熱状態となり,破断荷重が低下した.以上から,適正な接合範囲はエネルギ密度700 (c) 母材破壊 J/cm2付近であることがわかった. 界面Ⅱ界面Ⅰ図7 表面未処理A5052のレーザ異種接合状況 あった.その接合部材を製作後,引張せん断試験を行った結果を図8(a)に示す.変位が増すとともに接合部材の担う荷重も増加した.変位0.7 mm以上では,A5052の伸びと接合部付近の回転方向の変形による傾きの違いが認められた.破断後の接合試験片は,試験荷重によって曲げ変形が残っており,塑性変形に至るほどの応力を担う結合部を得られたことがわかった.製作した接合試験片間の変位と荷重の変形履歴も再現性がよく,接合工程に起因するバラツキは抑えられていた.破断荷重の平均値5.7 kNをCBシートの面積400 mm2(□20 mm)から求めると,14.3 MPaであった.この結果から試作したCBシートの接合力は,アルミニウム合金の0.2 %耐力以上の接合力を有することが確認できた.図9にA5052に陽極酸化処理に加え封孔処理(沸騰水処理,封孔剤使用,80 ℃-900 s)を行ったA5052同士のヒータ接合試験片の引張せん断試1.61.41.21.00.80.60.40.200.005 1 3 カーボンブラック濃度 % 荷重Stage0.01 I 0.02 0.07 0.5 1.0 PA66CBシートA5052荷重− 161 −1.0 0.5 0.07 0.02 カーボンブラック濃度 % C0.01 0.005 20 mm
元のページ ../index.html#163