助成研究成果報告書Vol.34
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3.表面溶融無しでの結晶粒微細化条件探索 3.1実験条件と方法  図1 断面マクロ 表3 表面の結晶粒微細化を検討するためのレーザ照射条件 ID レーザ出力 図2には本実験で得られた微細化領域のミクロ観察写真の一部と,比較のために母材の金属結晶粒ミクロ観察写真を示す. (1) エネルギ密度EWvCO2ガス ガス雰囲気 大気(Air) 前章に示したレーザ照射実験では,いずれも鋼材表面の溶融が確認された.表面の溶融を許す場合,結晶粒の細粒部自体は照射影響部内に存在するが,同時に溶融部と細粒部の間に粗粒域が発生する.この領域では亀裂進展速度が母材原質部よりも速くなるため,全体で見ると疲労強度の有意な向上効果が得られない恐れがある.このことから,レーザ照射点における亀裂の発生ならびに進展抑制のためには鋼材(照射点)表面を溶融させずに一定以上の深さで結晶粒を微細化させる必要がある. そこで,レーザ出力,デフォーカス距離,照射速度を変更しながら複数の条件でビードオンによるレーザ照射施工を実施し,適正な照射条件を探索した.なお,建造中の構造物への適用を念頭に,照射回数は1回に固定した. 2.で説明した実験ではレーザヘッドを鋼材と垂直に配置したため,鋼材表面におけるレーザの熱源形状は,ほぼ円形であったため,熱源強度分布はガウス分布に近い状態であり,円形状の中心で熱源強度は最大となる.そこで本検討では,照射角度を移動方向と平行に傾斜させることで鋼材表面の熱源形状は楕円形状とした.この結果,熱源集中度が緩和されるため,鋼材表面の溶融防止が期待される. 表3にはレーザ出力,デフォーカス距離,移動速度の照射条件とこれらの照射条件に基づいて,式(1)により計算したエネルギ密度を示す.式(1)は熱源形状が円である場合の式であるので,レーザ照射に角度をつけた際のレーザ熱源形状はやや楕円型となり厳密には異なるが簡便さを優先し,近似ではあるがこれを適用することにした. ID 1 ID 2 E : エネルギ密度(J/mm2), 熱効率, W レーザ出力(W), v: レーザ照射移動速度(mm/s),  レーザスポット直径(mm). (kW) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 3.2実験結果 1.04 1.41 ここで, デフォーカス距離 (mm) 移動速度 (mm/min) ID 3 50 60 2,000 1,700 1,000 600 2,000 1,800 1,400 1,000 70 (J/mm2) 6.74 5.62 4.82 5.67 9.65 16.1 6.54 7.27 9.34 13.1 − 146 −

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