助成研究成果報告書Vol.34
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表1 試験条件 表2 断面マクロ観察による測定結果と硬さ測定結果 レーザ照射影響範囲 ガス雰囲気 A Air B CO2 C Air A Air B CO2 C Air A Air B CO2 C Air ID 2とID 3においては,大気中照射と比較してCO2雰囲気中照射では溶融および変質域の幅が増大した.この理由は,CO2雰囲気中では大気中よりも表面活性元素である酸素の量が溶融部において少ないために,表面張力対流が変化した影響を受けたと考えられる.ID 2は溶込みが深いため表面近傍でのみ溶融地内の対流の変化が影響した結3 2.6 15 皮を切削した.レーザの照射条件を表1に示す.レーザ移動速度は全て600 mm/minとした. 試験ID レーザ出力 (kW) デフォーカス距離 (mm) 試験ID 1は試験体表面を溶融させないことを想定した照射条件,ID 2は溶込みの深いキーホール型の溶融形態,ID 3はID 2からデフォーカス距離のみを大きくし,幅広の溶融形態となることを想定した照射条件である.また,上記ID 1~3において,照射回数の影響を検討するため,大気中(ガス無し)の条件下で,レーザ照射回数を4回とした実験及びレーザ光路上が大気まま(CO2ガスパージ無し)での実験も行った. 2.2実験結果 レーザ照射後の試験体を適切な大きさに切り出し,ベルトサンダーを用いて粒度#1000まで研磨後,4%ナイタールでエッチングを行い,断面をアセトンで洗浄した試験片についてマクロ断面観察を行った.照射影響により母材部と組織の様相が異なった領域および溶融域の計測結果,微細化が顕著な領域における粒径計測結果,変質部と母材部の境目を0.1 mmの間隔で測定したビッカース硬さ試験の結果を表2に,1回照射試験片のマクロ断面の写真を図1に示す. 1 2 3 試験 ID レーザ 照射回数 最大幅 (mm) 0.97 0.89 1.13 4.12 5.09 4.66 3.15 4.96 3.20 1 4 1 4 1 4 1 0.3 5 2 10 最大深さ 最大幅 (mm) (mm) 0.47 0.39 0.50 4.07 4.03 4.21 2.63 2.74 2.83 0.68 0.67 0.75 2.94 4.02 3.44 2.06 3.83 2.10 果,表面付近の溶融および変質域の幅が増加したものと考えられる.照射回数を重ねることで,ID 1とID 2では幅方向に,ID 3では深さ方向に顕著に溶融および変質域の増大が確認された. 金属結晶粒径について,全ての条件で結晶粒の微細化が確認された.一方で,全ての条件でCO2雰囲気中照射(ID B)では大気中照射(ID A)と比較して粒径がわずかに大きくなるという傾向が確認された.また,照射回数4回(ID C)の方が1回(ID A)と比較して粒径が小さく出ており,照射回数の増加に伴い微細化が促進される傾向が確認された.西尾らの研究においても同様の傾向が報告されている.熱伝導型の溶融形態を想定したID 3の照射条件はキーホール型の溶融形態を想定したID 2から得られた試験片より全体的に粒径が小さく出ており,微細化効果がより大きくなることが示唆される. 母材部の硬さの平均は,KD36では190 HVであり,平均結晶粒径は10.4 µmであった.いずれもボンド部もしくはその近傍で最高硬さを確認した. 溶融範囲 最大深さ (mm) 0.39 0.31 0.40 3.77 3.45 3.89 2.21 2.49 2.51 2.8 3.1 2.4 3.6 4.0 2.8 2.4 3.6 2.3 ビッカース 硬さ 最大値 (HV) 499 462 495 441 430 431 445 419 462 平均 結晶粒 直径 (μm) − 145 −

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