助成研究成果報告書Vol.34
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図2 基板試料の前処理と衝突処理の実験装置 る. 1つ目は, ショットの激しい衝突が付着粒子を基板表層部に打ち込む. 2つ目は, 付着粒子の一部が処理チャンバーに落ちて, ショット衝突によって粉砕され, 音響流と音響放射圧により基板表面へ移動され, 基板表層部に打ち込まれる. いずれの現象においても衝突処理時間によって基板表面にコーティング層または複合層が形成される. また, 本実験装置には, 処理効率を向上させるために以下の追加オプションがある. ① 処理中に基板を200℃ 表1 実験条件 基板試料 A1050, A6063 (直径100mm, 厚さ 図3 A1050基板試料断面のSEM像 5~10mm) TiN(1~2 m), TiB2(1~2m), Fe2O3(<0.3 m) 54 mm or 17 mm まで加熱するヒーター, ② 処理チャンバー内の粒子挙動を制御するために処理チャンバー内に電場または磁場を印加するユニット. 上記の装置を用いて, 表1にまとめる条件で実験を行った. また別の実験で基板の衝突時におけるショット速度と衝突頻度を測定し, 基板表面への衝突エネルギーEimを求めた. 上記の条件ではEimは最大値と最小値がそれぞれ370 Jsec-1m-2と 1780 Jsec-1m-2である. 処理後, 基板にイオンミリングにより断面加工を施し, SEM・ STEM観察, EBSD解析, ナノインデンテーション試験を通じてUMCA法における複合層形成機構と複合層特性に対する要因の影響について調査を行った. 4.実験結果 4・1 複合層特性とそれに影響を及ぼす因子 まず, 最小の衝突エネルギーに相当する条件, すなわち, ZrO2ショット, Ab=58 m(p-p), h=54 mmでTiN粒子とTiB2粒子を用い, A1050基板複合層の構造と深さに対する処理時間と温度の効果を調査した. その結果を以下にまとめる. 室温と処理時間10~20分間では, 粒子が基板内部に入り込まずに基板表面上に厚さ数μmのコーティング層を形成した. 処理時間30分間以上では粒子が基板内部に入り込むような構造が形成されたが, 粒子の分散率がかなり低く, 粒子同士が繋がっている状態になった. 処理温度処理条件 温度℃/時間 分: (a) 25/10, (b) 200/10, (c) 100/30, (d) 200/30, (e) 200/60 音響流は超音波振動が流体中を伝播する時の粘性摩擦, 不可逆的熱吸収により超音波エネルギー消散によって超音波の伝播方向に生じるビーム状の定常流である.音響放射圧とは音場中に存在する物体(粒子)が音波から受ける静的な圧力である. これらの現象は, 特に定在波音場において発生する際に微粒子を操作できる程度のものである. 3.実験方法 3・1 実験装置の概要 図2は試料準備(a)と実験装置(b)の概略図である. まず, 金属基板上に粉体のエタノール懸濁を偏りなく均一に塗布, 乾燥するという操作を2回繰り返して, 基板をプレコーティングした面が下になるように処理チャンバーの上に設置した. 所定量の硬質ショットを処理チャンバーに入れ, チャンバーに高振幅の振動を印加すると, ショットは激しく運動し, 粒子でプレコートされた基板表面に激しく衝突を繰り返す. その際, 以下の二つの現象が発生す粉末材 ショット ZrO2(3mm, 約600個), WC(3mm, 150個) 距離h* 処理時間 1~60 分 基板温度 RT ~ 200℃ *ブースター端面と試料表面の間の距離 − 139 −

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