キーワード:急冷凝固,軽量化,Mg合金クラッド材 等の部品の軽量化によって,省エネを達成しエネルギーを有効に活用する技術の開発が重要な鍵を握っている.自動車産業界では,オランダやノルウェーをはじめ,EUでは2030年までにガソリン車およびディーゼル車の販売を禁止する等EV化の流れがこれまで以上に加速している.すなわち,自動車等の部品の軽量化には従来よりもさらに革新的な軽量化が必要な時代に入ってきたといえる. 従来,マグネシウム(Mg)合金は最軽量な金属であるとみなされてきたが,実際のMg合金製品は,ほとんどダイカストによる家電製品部品等がほとんどで,産業界ではそれほど実用化されていない.これまでMg合金がほとんど実用化されていない主な理由は,次の3項目であると考えられる. 1)展伸用Mg合金が高価であり,現在のところ国内外で安価な展伸用Mg合金の供給体制が確立されていない. 2)結晶構造の特性から冷間加工性が低く,冷間で加工できる展伸材が市販されていない. 3)Mg合金の強度や耐食性が低く, 塑性加工に適したMg合金素材がない.潤滑材も含めた鍛造用Mg合金素材のプレス加工性や実証的な研究例もそれほど多くない. かような状況では,Mg合金が軽量材料として自動車産業界で実用化されるためには,上記に挙げられた3つの障害を克服する必要性がある. 本研究では溶湯から,急冷凝固法の一つであるロールキャスティングによって熱間鍛造用の素材を溶湯から直接的に製造し1),これを用いてMg合金クラッド材料を創製する.さらに,ロールキャスティングによって溶湯からMg合金/Alクラッドを製造し,この素材が熱間鍛造用に使用できるかどうかを検討する試験を行う.Mg合金は耐食性が低いため単体で実用化する際には塗装工程が必要となり,塗装による別なコストがかかる.この弱点を克服するための一つの方法が,Mg合金/Alクラッド2)であると考えている. 本研究では高濃度Al含有マグネシウム合金の創製と,得られた素材の性質を明らかにすることを目指す.さらにこのMg合金にAl合金を被覆したクラッドを製造するためのプロセスと成形性試験の結果について報告している. 1.研究の目的と背景 地球規模での環境負荷低減を達成するためには,自動車東京電機大学 理工学部・理工学科 機械システム工学系 (2018年度 一般研究開発助成 AF-2018022-B2) 教授 渡利 久規 2.実験方法 2・1 実験に使用したロールキャスター 図1に,実験に用いたロールキャスターの概略図を示す.ロールの外径は285mm, ロール幅は150mmである.ロールと溶湯の接触長さは50mm,ロールは鋼製でありロール表面が純銅で覆われている.ロール間隙は単純な一次元凝固理論式から算出した条件に設定している.この一次元凝固理論式1)と図1に示すロールキャスターの下ロールだけを用いたメルトドラッグ実験の結果を考慮してロール周速度ごとに決定し,連続鋳造が可能なロール間隙に設定している.図2にクラッド実験に用いたロールキャスターの概略図を示す. 図2 クラッド製造用双ロールキャスター概略図 (1. 坩堝, 2. Mg合金溶湯, 3. Al合金溶湯, 4. 上ロールノズル, 5. 下ロールノズル, 6. 上ロール凝固長さ, 7.溶湯接触長さ, 8.下ロール凝固長さ, 9. 上ロール, 10. 下ロール, 11. クラッド) 図1 横型双ロールキャスター概略図 − 126 −ロールキャスティングによる革新的高強度Mg合金 クラッド材の創製とその熱間鍛造性
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