4.結果と考察 4・1 成形過程について ■■■ ■■■ ■■■ なお,ステンレス鋼については,ANSYS AUTODYNに準備されているパラメータを利用している.なお,SEP爆薬では,Jones-Wilkins-Lee(JWL)の状態方程式9)を数値解析モデルに適用しており,パラメータは表3に示す. ■ ■■ ■■ 表2 Johnson-Cook構成モデルのパラメータ 表3 JWL方程式のパラメータ 4ページ下部に記載している図4に,成形過程を示している.初期圧力により中間板が下方向に進み,開始から12[us]後から試料であるマグネシウム合金が変形を開始している.16[us]後においては,マグネシウム合金が同時に型に入り込んでいくが,20[us]後,24[us]後では,左右の穴において,穴の両サイドの流入速度が違うことがわかる.例えば,左側の穴へのマグネシウム合金流入について着目すると,穴の傾きは両サイドともに同じであるが,型の肩部(山の頂点)の形状が違うため,左サイドの流入速度に比べて右サイドの流入速度が速いことがわかる.また,中央の穴では,両サイドの流入速度は同じであるが,中央(肩部と型部の中央)の入流速度が遅いため,マグネシウム合金の下辺が,上に凸のアーチ状になりながら成形している(24[us]後の図を参照).その後,この解析では,28.6[us]後に成形が達成されている.また,20[us]後以降では,ホルダーと型およびホルダーと中間板の隙間に,マグネシウム合金が細長く変形しながら入り込んでいる.これは実験結果にも確認できる現象であり,これの要因や特徴についてもいずれは明らかにしたいと考えている. 4・2 実験結果について 図5に回収されたマグネシウム合金の断面図を示す.ここでは,成形方向と上下逆向きに試料を撮影している.なお,図6(a)は,Solidworksにて写真を取り込み,その上から,定規のメモリを基準とした倍尺10:1にて寸法を記入している.図5(a)には,山部の高さ5[mm](図6(a)では倍尺10:1のため50[mm]と表示されている)と傾き14.5[deg]を記載している.山部の高さ,すなわち型への流(a) (b) 入に関しては,左右の山で違いがあり,左側の山はおおよそ達成しているが,右側の山では,山の高さが5[mm]よりやや低いことがわかる.山の中腹部の傾きに関しては,おおよそ14.5[deg]であり,型に沿った成形ができている.このため,爆薬をエネルギー源とする大変形を伴う型成形が可能であることを明らかにしている.図5(b)は,頂点の拡大図を示している.拡大図1では山の頂上部に小さな窪みがあり,拡大図2では,山の肩部に小さな窪みがある.これは,4・1節で述べたように,型肩部の傾きが違う影響により,マグネシウム合金の流入速度が違うために,型底面への到達タイミングが違うことにより生じている. 図5 実験結果(成形方向と上下逆向き) 図6 数値解析結果(相当塑性ひずみ表示) [MPa] AZ31 224 M [MPa] 380 0.012 1.554 N 0.761 A [GPa] SEP 爆薬 365 B [GPa] 2.31 4.30 1.00 0.28 − 124 −
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